タイトル |
はさみ摘みてん茶生産に適した品種 |
担当機関 |
京都府立茶業研究所 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
荻 安彦
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発行年度 |
2000 |
要約 |
はさみ摘みてん茶としての収量性は、「やぶきた」が最も優れ、「さみどり」は摘採面当たりの収量が多い。てん茶品質は「さみどり」が最も優れ、葉厚の薄い「おくみどり」、「あさひ」も優れる。総合すると「さみどり」の適性が最も高い。
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背景・ねらい |
近年、抹茶原料の需要の高まりや手摘み労働力の不足等により、はさみ摘みてん茶の生産量が増加している。そこで、既存の玉露、てん茶用品種を対象に、収量性、てん茶品質及び遮光下における一番茶新芽の特性について調査し、はさみ摘みてん茶の適性について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 一番茶における遮光方法を、一重被覆による一定遮光(遮光率約92%,20日間:1995年~1997年)及び二重被覆による段階遮光(同約81%10日間+約98%20日間,計30日間:約1998年~2000年)の2種類とし、8品種を対象に(表1)、適性を調査した。
- 収量性は、初期生育が旺盛で早期に株張りが確保できる「やぶきた」が最も優れ、次いで、「おくみどり」、「ごこう」が優れる。「さみどり」は摘採面当たりの収量が多く、株張りを大きく広げることにより、収量性を高めることが可能である(表1)。
- てん茶品質は、「さみどり」が被覆条件に関わらず安定して優れ、次いで、「おくみどり」、「あさひ」が優れる。また、「やぶきた」は、一重被覆よりも二重被覆の段階遮光にすることにより品質向上効果が大きくなる(表2、図1)。
- てん茶品質と負の相関がある葉厚は、「あさひ」、「おくみどり」が被覆条件に関わらず薄い(図2)。また、「さみどり」、「おくみどり」は新葉の硬化が遅く柔らかい。
- 以上の結果から、はさみ摘みてん茶への適性は、「さみどり」が最も高い。
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成果の活用面・留意点 |
- 「さみどり」は極直立型であるため、収量性を高めるためには、定植時に条間を広げ株間を狭めることや幼木期の水平せん枝等により、株張りを助長する工夫が必要である。
- 「おくみどり」は新葉が柔らかく薄いことから、折れ葉や重なり葉、縮みが多くなり、展開不足や黒みの傾向が認められるため、蒸しすぎないように注意が必要である(表2)。
- 本成果は、はさみ摘みてん茶生産における品種選択及び栽培管理上の参考資料となる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
栽培技術
茶
てん茶
品種
抹茶
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