浮皮の少ない新品種「石地温州」の果実特性

タイトル 浮皮の少ない新品種「石地温州」の果実特性
担当機関 広島県農業技術センター果樹研究所
研究期間 1999~2000
研究担当者 中谷宗一
長谷川美穂子
平尾晃* (* 現島しょ部研究部) 
発行年度 2000
要約 「石地温州」は11月下旬に成熟し、果実に浮皮がほとんど発生せず、糖度も高く、糖組成においてもフラクトース割合が高く、食味の優れる中生ウンシュウである。
背景・ねらい  「石地温州」は広島県安芸郡倉橋町で杉山温州の苗木の中に樹勢が旺盛な樹として発見された。平成3年から始まった果樹の優良品種を探索する「広島フルーツ優良系統育成事業」において調査した結果、果実に浮皮が発生せず、食味も優れていたため優良品種候補として選抜し、「南柑20号」、「杉山温州」等と比較して「石地温州」の果実特性を調査した。なお、本品種は2000年11月に品種登録され、現在、産地化を図っている。
成果の内容・特徴
  1. 「石地温州」の果実着色は、「南柑20号」とほぼ同等である(図1)が、着色が始まると樹内部の果実でも着色ムラがなく全面着色する。
  2. 果実は扁円形で、果皮は早生ウンシュウに似て滑らかである(表1)。
  3. 果実に浮皮はほとんど発生せず、特に降雨が多く、他の品種で浮皮の多い年において特性を発揮する(図2、表1)。
  4. 果実の成熟は、11月中旬~12月上旬で、果汁中の糖度が高く、降雨の多い年でも極端に糖度が低下しない。クエン酸は「南柑20号」や「杉山温州」と同等である(表1)。
  5. 果汁中の糖組成は、「杉山温州」や「不知火」に比べてフラクトース(果糖)の割合が高く、シュークロース(蔗糖)の割合が低い。フラクトースはシュークロースより1.7倍甘味が強いため、食味が良くなっていると考えられる(図3)。

成果の活用面・留意点
  1. 「石地温州」は、浮皮の生じやすい地域において適応できる。
  2. 品種の権利は、広島県果実農業協同組合連合会が取得している。
  3. 接ぎ木異常症や温州萎縮病等のウイルスに汚染されているものがあるので,採穂に注意する。

図表1 210988-1.jpg
図表2 210988-2.jpg
図表3 210988-3.jpg
図表4 210988-4.jpg
カテゴリ 萎縮病 新品種 接ぎ木 品種 良食味

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