タイトル |
微生物農薬を主体とした体系散布によるナス灰色かび病の防除と耐性菌抑制 |
担当機関 |
大阪府立農林技術センター |
研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
岡田清嗣
草刈眞一
中曽根渡
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発行年度 |
2000 |
要約 |
ナス灰色かび病の環境に優しい防除手法として、微生物農薬(バチルス ズブチリス水和剤、商品名:ボトキラー水和剤)を組み入れた体系散布により、化学合成農薬の使用を削減し慣行と同等の防除効果を維持しながら薬剤耐性菌の増加を抑制することができる。
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背景・ねらい |
薬剤耐性菌の発生抑制のためのローテーション散布は、農薬の過度な使用を助長しかねない。近年、灰色かび病防除薬剤としてBacillus subtilis を有効成分とする微生物農薬(バチルス ズブチリス水和剤)が登録された。そこで環境保全的な観点から、微生物農薬を取り入れ化学合成農薬の使用量を削減した新たな防除体系の確立と薬剤耐性菌の増加抑制について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- ナス灰色かび病に対するバチルス ズブチリス水和剤の効果的な使用時期は、有効成分B.subtilis の生育適温域(10~50℃)、散布開始時期と防除効果の関係(図1)から判断して、ナス施設栽培では防除価50以上が期待できる3月中旬以降である。
- 化学合成農薬の使用回数を慣行体系散布(9回散布)の1/3に削減して、バチルス ズブチリス水和剤を代替散布しても、同等の防除効果が得られる(表1)。
- 慣行体系散布と比較して、3月中旬から微生物農薬の体系散布を開始('97年,'99年)すると、4月中旬から散布を始める('96年,'98年)より高い効果が得られる(表1)。
- 微生物農薬体系散布区の薬剤毎の耐性菌率の発生比率は、慣行散布区と比較してその発生に抑制効果が認められる(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- バチルス ズブチリス水和剤はナスなど果菜類の灰色かび病防除を対象とした微生物農薬であり、有効成分が納豆菌の仲間B.subtilis であることから、改正JAS法の有機農産物に係わる表示ガイドラインにおいて、本剤は使用可能であり通常の農薬使用回数にカウントされない。
- 10℃以上の温度と適度な水分供給など微生物の活動に適した環境条件で使用する。
- 本菌は植物の生育に追随して増殖しないので、対象作物の生育にあわせ、適宜、予防散布を繰り返し植物体上で安定的に常在させる。
- 本剤を農薬と混用使用する場合は、混用適否表を参照する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
有機農産物
施設栽培
耐性菌
なす
農薬
防除
薬剤
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