タイトル |
ベンゾイミダゾール系薬剤耐性を示すタマネギ灰色腐敗病菌の検出と防除効果 |
担当機関 |
兵庫県病害虫防除所 |
研究期間 |
2000~2002 |
研究担当者 |
神頭武嗣
西口真嗣
入江和己
|
発行年度 |
2000 |
要約 |
ベンゾイミダゾール系薬剤に耐性を示すタマネギ灰色腐敗病菌が1999年に初めて検出された。耐性菌は淡路島内広域に分布し、タマネギ罹病株や冷蔵腐敗球から高率に分離された。耐性菌に対するチオファネートメチルの防除効果は全く認められない。
|
背景・ねらい |
タマネギ灰色腐敗病に対して1973年以来ベンゾイミダゾール系薬剤が年数回散布され続けてきたため1978年から1994年まで薬剤感受性検定を実施したが、耐性菌は全く認められなかった(表1)。1999年頃から灰色腐敗病の発生が再び漸増傾向にあるため、その原因究明の一つとして、ベンゾイミダゾール系薬剤耐性菌の発生調査を行った。
|
成果の内容・特徴 |
- 最低生育阻止濃度の頻度分布調査は、検定培地にPDA培地を用い、チオファネートメチルを0.39μg/ml~1600μg/mlの13段階の濃度で検定する。前培養した灰色腐敗病菌を検定培地に移植して、23℃で2日間培養し、菌糸の生育の有無によって判定する。検定菌株の最低生育阻止濃度の頻度分布は、1600μg/ml<と0.39μg/ml≧の両極在性を示した(表2)。この結果から、1600μg/ml<を示す菌株は耐性菌、0.39μg/ml≧を示す菌株は感受性菌と判断される。
- ベンゾイミダゾール系薬剤耐性菌の発生実態調査は、検定培地としてPDA培地を用い、チオファネートメチルを10μg/mlおよび100μg/mlの2濃度で検定する。培養条件等は頻度分布調査に準ずる。耐性菌率は、1999年産の冷蔵腐敗球からの分離菌では84.2%、2000年産の立毛罹病株からの分離菌では74.2%で、耐性菌は高い割合で淡路島の広い地域に分布していた(表3)。
- ほ場での接種条件によるチオファネートメチル水和剤の1000倍液散布の防除効果は、感受性菌に対しては認められるが、耐性菌では全く認められない(表4)。
- 全ての菌株はベンゾイミダゾール系薬剤の感受性に関係なく、ジエトフェンカルブに対して耐性を示す(表2、表3)ため、ほ場におけるチオファネートメチル・ジエトフェンカルブ水和剤の1000倍液散布の耐性菌に対する防除効果は全く認められない(表4)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 大量の菌株を省力的に検定する場合、チオファネートメチルの検定濃度は10μg/ml~100μg/mlの範囲で、2濃度か1濃度の設定で可能である。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
カテゴリ |
病害虫
耐性菌
たまねぎ
防除
薬剤
薬剤耐性
|