ボタンの苗木生産における石灰質肥料の効果

タイトル ボタンの苗木生産における石灰質肥料の効果
担当機関 島根県農業試験場
研究期間 1999~2000
研究担当者 伊藤淳次
発行年度 2000
要約 石灰質肥料の施用はボタンの根の発達と生長を促進し、良質苗の生産に効果がある。黒ボク土における好適値は概ねpHが6~7、交換性カルシウム含有量が3~4g kg -1 である。
背景・ねらい  島根県の八束町は全国で唯一のボタンの大規模産地であり、主に黒ボク土で苗木や、鉢花、切り花が生産されている。農家の一部には石灰質肥料の施用は土壌を硬化させるとの考えがあり施用量が不足する傾向にある。一方、年末から出荷する促成鉢花栽培において開花期頃から葉柄の一部が水浸状に壊死し、折れ曲がる障害が発生し問題となっている。障害株はカルシウム含有量が少ない。そこで、ボタンの促成栽培用苗木生産におけるカルシウム施肥の効果について検討する。
成果の内容・特徴
  1. シャクヤクを台木とするボタン苗の定植後1年間の1株当たり多量要素吸収量をみると、カルシウムは約500mgで、窒素の約700mgに次いで多い。
  2. pHが4.5、交換性カルシウム含有量が0.2g kg -1 の黒ボク土に、石灰質肥料を施用すると細根量が顕著に増加し、地上部の生育は旺盛となる(図1)。
  3. ボタン苗木栽培土壌(黒ボク土)の好適値は概ね、pHが6~7であり交換性カルシウム含有量が3~4g kg -1 である(図2)。
  4. 育苗時の石灰質肥料の施用により、促成栽培ボタンの新梢部のカルシウム含有量は増加する(図3)。また、新梢部のカルシウム含有量が多いと葉柄の折れ曲がり症状の発生は抑制される傾向にある(図4)。

成果の活用面・留意点
  1. 石灰質肥料の施用量が過度になるとマグネシウムやマンガン等の含有率が低下し、葉の褐変等の障害が発生する恐れがある。
  2. 葉柄の折れ曲がり症状は‘太陽’‘連鶴’等の品種で多く発生し、原因は明確でないが発症率はカルシウム含有量の他に、苗重、展葉期における茎葉と根のバランス、高気温等の影響を受けると考えられる。

図表1 211034-1.jpg
図表2 211034-2.jpg
図表3 211034-3.jpg
図表4 211034-4.jpg
カテゴリ 肥料 育苗 栽培技術 しゃくやく 出荷調整 施肥 台木 苗木生産 品種 ぼたん

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