RAPDマーカーによるボタン主要品種の識別

タイトル RAPDマーカーによるボタン主要品種の識別
担当機関 島根県農業試験場
研究期間 2000~2002
研究担当者 杉山万里
発行年度 2000
要約 ボタン主要43品種について、RAPDマーカーにより品種識別が可能である。不明な品種の同定または品種名の確認に有効な比較品種、プライマーセットを設定し、効率的かつ簡易に品種の確認が行える。
背景・ねらい  ボタンは主に花形や花色により品種識別がなされているが、類似した品種も多く判別には経験を必要とする。また、花の咲いていない出荷苗では判別が困難で、品種の混乱が問題となっている。通常、ボタンは接ぎ木により繁殖させるため、DNAレベルでの識別が有効である。そこで、母樹の品種管理等の利用を考え、RAPDマーカーによる品種識別法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. テンプレートDNAはボタンの冬芽の中心部から抽出する。洗浄法とCTABminiprepの併用により効率よく抽出できる(図1)。
  2. PCR反応は94℃2分1サイクル・(94℃45秒・42℃1分・72℃1分)45サイクル・72℃5分1サイクル、反応液はrTaqバッファー、2.5mM MgCl2 、0.1mM dNTPs、1μM合成プライマー(OPERON 10mer kit A,B,C,D)、0.5Unit rTaq polymerase、テンプレートDNA50ngとし、全量25μlとする。
  3. オペロンのランダムプライマー80種類を検討した結果、A07 A11 A16 A19 B11 B13 C06 C09 C12 C13 C14により検出される14個のRAPDマーカーによって、ボタンの主要品種43を識別することができる(表1)。対象品種9品種(表1)を選抜し、調査したい個体と共にRAPDマーカーを検出・比較することにより、同定の簡易化を図ることができる。
  4. 市販のプライマーから選抜したプライマーセットⅠ、Ⅱ(表2)を用いたRAPDの検出結果を、プロファイルしてある品種毎のRAPDパターンと比較することにより、簡易に品種の確認ができる。
  5. あらかじめ酵素、DNAを除いた反応液を作成しておくことにより、操作の簡易化を図るとともにオペレーターに起因する結果のバラツキを抑えることができる。また、検出は毒性の弱いSYBR GOLDを後染色に用いることができる(データ省略)。

成果の活用面・留意点
  1. RAPDは再現性に若干問題があるので2回以上反復する。
  2. この方法は、‘吉野川’と‘御所桜’など特に視覚的に識別しにくい品種において有効な手段であるが、‘島錦’のような突然変異により作出された品種では元品種との識別は困難である。

図表1 211074-1.jpg
図表2 211074-2.jpg
図表3 211074-3.jpg
カテゴリ 出荷調整 接ぎ木 繁殖性改善 品種 ぼたん

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