ウシ子宮内膜組織におけるLIF、M-CSF遺伝子の発現

タイトル ウシ子宮内膜組織におけるLIF、M-CSF遺伝子の発現
担当機関 中国農業試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者 高橋政義
小松正憲
小島孝敏
大島一修
竹之内直樹
渡辺裕子
島田和宏
堂地修
発行年度 2000
要約 発情周期および妊娠初期から中期のウシ子宮内膜では、白血病阻止因子(leukemia inhibitory factor (LIF))ならびにマクロファージコロニー刺激因子(macrophage colony stimulating factor (M-CSF))遺伝子が発現している。LIF遺伝子は胎盤形成期から妊娠中期の子宮小丘間部で、M-CSF遺伝子は妊娠中期の子宮小丘間部で高い発現を示す。
背景・ねらい  ウシ胚の妊娠成立、維持には種々の生理活性物質の関与が考えられるが、不明な点が多く残されている。これら生理活性物質の機能を明らかにし、応用していくことは人工授精、胚移植などによる受胎率向上を目指す上で大きな貢献をすると考えられる。そこで、ヒトやマウスで妊娠への関与が報告されているサイトカインの中で、マウスで着床に必須とされ、ヒト子宮内膜でも発現が認められているLIFと、マウスで着床に重要であり、ヒトでも妊娠成立・維持に関与すると考えられているM-CSFについて、発情周期ならびに妊娠初期のウシ子宮内膜における遺伝子発現の様相を検討した。
成果の内容・特徴
    黒毛和種雌牛13頭(発情周期0、6、13、14日、妊娠17、20、30、34、48、49、135、140日齢)を供試した。各遺伝子発現量の測定は、TaqManプローブとプライマーを用い、グリセルアルデヒドリン酸脱水素酵素(glyceraldehyde-phosphate-dehydrogenase(GAPDH))遺伝子を内部標準として、ABI Prism 7700 sequence detection systemにより行った。各値の解析はMann-Whitney U testで行った。
  1. LIF遺伝子発現は、妊娠日齢30~49日および140日の子宮小丘間部内膜で高く(図1)、 胎盤形成開始時期から妊娠中期にわたる妊娠過程におけるLIFの関与が推察される。また、子宮小丘間部は子宮腺が存在する部位であることから、LIFと子宮腺の関係も示唆される。
  2. M-CSF遺伝子発現は、妊娠135、140日の子宮小丘間部内膜で高く(図2)、妊娠中期に おけるM-CSFの関与とM-CSFと子宮腺との関係が推察される。
  3. 胎子胎盤が形成され始める妊娠30日以降にLIFが、妊娠中期にM-CSFが子宮内膜や子宮腺から分泌され、妊娠成立・維持に係わっていることが推察される。

成果の活用面・留意点
    ウシの妊娠成立・維持機構を解明する上での重要な情報となる。

図表1 211099-1.jpg
図表2 211099-2.jpg
カテゴリ 受胎率向上

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