イチゴ品種「さちのか」の作型前進化技術

タイトル イチゴ品種「さちのか」の作型前進化技術
担当機関 山口県農業試験場
研究期間 1999~1999
研究担当者 内藤雅浩
木村一郎(徳佐寒冷地分場)
発行年度 2000
要約 「さちのか」では、定植前に暗黒低温処理することで、11月から収穫が始まり、年内収量が増加する。暗黒低温処理温度を13℃→16℃、入庫10日目に日照処理し、出庫後2~3日間日陰で順化することで、頂花房の出蕾が安定する。
背景・ねらい  「さちのか」は着色・果実硬度・果形の揃いが優れ、食味も良く、ジベレリン処理や玉出し作業が不要で、省力効果もあることが期待される品種である。一方、「とよのか」に比べて収穫開始時期が遅れるという問題があり、その解決が望まれている。
 そこで、「さちのか」の生理生態の特性を解明し、作型前進化の技術を確立する。
成果の内容・特徴
  1. 暗黒低温処理温度は、前半10日間を13℃、後半を16℃とすることで分化が安定する(表1)。
  2. 暗黒低温処理中、処理10日目に日照処理(日中8時間)を行うことで、開花株率が向上する(表1)。
  3. 暗黒低温処理後、日陰で順化することで開花株率が向上する。順化日数が4日を超えると開花時期が遅くなり、年内収量が低下するので、適正日数は2~3日である(表2)。
  4. 開花を安定的に促進し、年内収量を増加させる観点から、地域ごとの適切な定植日・ 暗黒低温処理期間の目安は、次の通りである。
      平坦地 定植日 9月 5日 暗黒低温処理期間 8月18日~9月 3日
      9月10日  8月24日~9月 8日
      中山間地  8月16日  7月28日~8月14日
      8月25日  8月 6日~8月23日
  5. 中山間地域の促成栽培では、暗黒低温処理による8月15日~8月25日定植が適作期である。平坦部では、暗黒低温処理促成栽培(9月5日頃定植)と普通促成栽培(9月20日頃定植)の作型組み合わせにより11月から安定した収量の確保が可能になる(表3、図1)。

成果の活用面・留意点
  1. 順化日数は、出庫時の天候により調節する。
  2. 冷蔵庫によっては、温度設定16℃が不可能な場合があるが、その場合は後半の温度を出来るだけ16℃に近づけて設定する。
  3. 本研究は、佐賀県、福岡県、鹿児島県と共同研究により実施したものである。

図表1 211109-1.jpg
図表2 211109-2.jpg
図表3 211109-3.jpg
図表4 211109-4.jpg
カテゴリ いちご 栽培技術 中山間地域 品種 良食味

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