タイトル |
三尺系「あさかぜ」と半白系「毛馬」キュウリの雑種F1系統の形質変動 |
担当機関 |
大阪府立農林技術センター |
研究期間 |
2000~2002 |
研究担当者 |
森下正博
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発行年度 |
2000 |
要約 |
「あさかぜ」と「毛馬」キュウリの雑種F1系統の果実収量は「毛馬」より高くなるが、果実長が短くなる。種子の大きさ、果実形、果色及びテクスチャーはF1系統で分離し、果肉部および胎座部の歯切れが低下する系統が出現する。
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背景・ねらい |
大阪市都島区が発祥の伝統野菜である「毛馬」キュウリの果肉特性を保持しながら、高収量化・高品質化を図るため、収量性が高く、果実長が長い「あさかぜ」を母系に用いた雑種系統を育成し、その生育・果実特性を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 「毛馬」は8.9×3.1mm、「あさかぜ」は8.8×3.6mmの種子の大きさに対し、雑種F1系統は9.4~10.3×3.5~3.9mmと母系の「あさかぜ」の種子より大きい種子となる(図1)。
- 草勢は両親の中間の様相を呈し、果実形、果色は「あさかぜ」タイプがNo.1、3、「毛馬」タイプがNo.2、6、7、中間のタイプはNo.4、5に分かれ、「毛馬」の特徴である果実の果頂部および果梗部が帯黄褐色化する形質はNo.2、4、5、6、7の5系統に発現する(表1)。
- 父系の「毛馬」が17.6本/株、母系の「あさかぜ」が28.4本/株であり、F1系統は16.2本/株~23.6本/株と、両親の中間の収量となる(表1)。
- 「毛馬」の果実には独特の苦味があり、母系の「あさかぜ」に比べ強く発現するが、F1系統ではNo.1、3、4、5がわずかに苦味を感じるが、No.2、6、7はやや強くなるなど、F1系統間で苦味に差がある(表1)。
- 果肉部の破断応力はF1のNo.1、2がやや低い値となり、胎座部の応力はF1のNo.2、3系統は「あさかぜ」に類似した果実特性となり歯切れが低下する(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 雑種F1系統の収量は増加するが、果実形、果色、果肉および胎座部のテクスチャーが低下し、分離していることから、F1雑種の育成に当たっては自殖を行い在来系統の純度を高めておく必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
馬
きゅうり
伝統野菜
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