タイトル |
ロックウール栽培のバラにおける折り曲げ枝からの光合成産物の転流特性 |
担当機関 |
広島県立農業技術センター |
研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
伊藤純樹
梶原真二
勝谷範敏
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発行年度 |
2000 |
要約 |
バラのロックウール栽培によるハイラック整枝法において、穂木の折り曲げた緑枝(同化専用枝)に着生する葉に由来する光合成産物は、48時間後には45%が切り花となるシュートや根に転流している。
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背景・ねらい |
ハイラック整枝法を用いたバラの切り花生産においては、折り曲げられた緑枝の葉(以下、同化専用枝)に由来する光合成産物の転流に関する知見がない。そこで、同位体の二酸化炭素(以下、13 C)を用いて、同化専用枝から他器官への光合成産物の転流について検討し、ロックウール栽培での樹型管理法の向上に資する。
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成果の内容・特徴 |
- 自根苗を用いて切り花シュートに13 Cを施与した場合の地上部における他器官への排出率は、24時間後で6%と低い。したがって、切り花シュートの葉に由来する光合成産物は、主にそれ自身の生育に用いられていると考えられる(図1)。一方、同化専用枝に施与した場合の排出率は34%と高い。しかも、切り花シュートへの分配率は84%で極めて高い(表1)。
- オドラータ台木の接ぎ木苗における同化専用枝由来の13 Cの排出率は、台木施与では48時間後で51%であり、穂木施与では45%と差がない(表2)。
- 13 C atom % excessは、台木同化専用枝に13 Cを施与した場合には台木の株、切り花シュート、根の順に高い。穂木同化専用枝に13 Cを施与した場合には、切り花シュートで最も高い(表2)。
- 収穫直前の切り花シュートを2~3本持つ株での各部位への13 C分配率は、根や切り花シュートで高い傾向にある(図2)。
- 以上の結果から、穂木および台木の同化専用枝と呼ばれる緑枝の葉に由来する光合成産物は、切り花となるシュートや根に多くが転流しており、それらの生育に大きく寄与していると考えられる。また、2年生株での切り花生育への寄与度は、穂木同化専用枝とオドラータ台木同化専用枝で大きな差はない。
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成果の活用面・留意点 |
- 同化専用枝を持つバラの整枝法において、切り花の生産性向上を目的とした同化専用枝管理のための基礎資料となりうる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
台木
接ぎ木
ばら
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