タイトル | タマネギ萎黄病ファイトプラズマの凍結および凍結乾燥による保存 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 2001~2005 |
研究担当者 |
宇杉富雄 田中 穣 |
発行年度 | 2002 |
要約 | タマネギ萎黄病ファイトプラズマを保毒したヒメフタテンヨコバイの磨砕液を凍結および凍結乾燥することでファイトプラズマの活性を維持・保存できる。 |
キーワード | タマネギ萎黄病ファイトプラズマ,凍結,凍結乾燥,保存,虫体内注射法 |
背景・ねらい | ファイトプラズマの保存にはファイトプラズマが感染した生植物を常に維持する必要があり,このためには多くの労力と場所が必要である。長期間接木接種で維持されたものは虫媒伝染能を喪失したり,虫媒接種を繰り返すことにより,病徴変異株が発生することも知られている。このため安定したファイトプラズマの長期保存法を確立する必要がある。そこで凍結および凍結乾燥によりタマネギ萎黄病ファイトプラズマ(OYP)が保存可能かどうかを虫体内注射法により検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. OYP感染シュンギクを5日間獲得吸汁させ,1ヶ月経過したヒメフタテンヨコバイ20頭を100μlの各種緩衝液で磨砕し,5,000rpm, 15分間遠心した上清を保毒虫磨砕液とし保存試験に使用した。一定期間保存後,試料をヒメフタテンヨコバイ幼虫に注射し,25℃で3週間飼育し,さらに生存虫のファイトプラズマ伝搬試験を実施することにより感染性を調べた。 2. 各種緩衝液で作製したOYP保毒虫磨砕液を1年間液体窒素中で保存したが,いずれの緩衝液においても感染性が認められた。また,凍結融解を繰り返しても感染性は認められた(表1)。以後の試験では保毒虫磨砕液は0.1M glycine, 003M MgCl2, 0.7M sucrose (pH7.2)で作製した。 3. 保毒虫をそのままの状態で液体窒素中および-80℃下で8ヶ月間保存した後に,保毒虫磨砕液を作製し、感染性を調べたところ,感染性が認められた。 4. 保毒虫磨砕液を-30℃,-80℃下で9ヶ月間保存した後に,感染性を調べたところ,いずれにおいても感染性が認められた(表2)。 5. 保毒虫磨砕液を凍結乾燥した後に,アンプルを溶封し,-80,-30,4,25℃の各温度下で5ヶ月間保存した標品を水で再溶解し,注射した結果,いずれの温度で保存しても感染性が認められた(表3,4,5)。 6. 以上の結果,凍結および凍結乾燥によりOYPの保存が可能である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 保毒虫を用いた場合にはOYPの保存が可能であるが,感染植物汁液では適用できない。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
図表5 | |
カテゴリ | 病害虫 萎黄病 乾燥 しゅんぎく たまねぎ |