タイトル | フィールドサーバを内蔵太陽電池のみで駆動する技術 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
胡浩明 深津時広 平藤雅之 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 従来のフィールドサーバは電源ケーブルの敷設が必要であった。フィールドサーバに内蔵された小型の太陽電池のみで駆動する省電力化技術により、水田等電源ケーブルの敷設が難しい場所にフィールドサーバを設置し、リアルタイムに温度・湿度等を計測することができる。 |
キーワード | フィールドサーバ、インターネット、無線LAN、太陽電池、間欠動作 |
背景・ねらい | 圃場モニタリングシステム・フィールドサーバを使って圃場の多数のポイントで土壌水分等をモニタリングしたいというニーズが増えている。しかし、従来のフィールドサーバは電源供給用ケーブルまたは大型の太陽電池を必要とし設置が面倒であった。また、フィールドサーバをセンサーネット用の装置として用いる場合、多数のフィールドサーバを狭い空間に設置するとフィールドサーバ間で通信が多段階中継されるため通信速度が落ちる、という問題があった。 従来のフィールドサーバはインターネットに常時接続し、数100mの範囲内で無線LANによりインターネットに接続するサービス(ホットスポット)を提供する機能を有している。この機能も実現しつつ、コードレスタイプのフィールドサーバも利用したい。 |
成果の内容・特徴 | 1. 従来のフィールドサーバが生成するホットスポット内でクライアント接続するフィールドサーバを多数配置するネットワーク構成とした(図1)。クライアント接続のため、多数のフィールドサーバを同時に稼働させることができる。 2. 大型の太陽電池を備えた評価用フィールドサーバの長期稼働実験(2年半稼働)から、消費電力を1/200~1/1000に減らす必要があると推定された。無線LANアクセスポイントは5W程度の電力消費であるが、クライアント接続用回路はその1/2(2.5~3W)の消費電力で済む。また、タイマ回路を内蔵し間欠動作させることで、消費電力をさらに1/100程度減らした。 3. タイマ回路は外部からの指令によってフィールドサーバを強制的に休止状態にできる。外部のデータ収集サーバ(フィールドサーバエージェント)は、フィールドサーバが起動し回線に接続するまで一定間隔でアクセスを試み、接続した瞬間のデータを記録する。そして直ちに電源をOFFにする。この操作によって、消費電力をさらに1/2程度に抑えた。 4. 上記省電力化技術を組み合わせることで、フィールドサーバ内蔵の小型ソーラパネル(11cm×11cm)と鉛バッテリ(6V、4.5Ah)を用いて、30分に1回、稼動最大時間30秒の設定で、観音台畑作圃場及び谷和原水田圃場にて2ヶ月以上連続稼動することができた(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本技術によるフィールドサーバは、無線LAN接続ができるエリアまたは従来のフィールドサーバの周囲で稼働する。何らかのトラブルで接続が切れた場合、データは欠測となる。 2. センサの消費電力はCO2等特殊なセンサ以外は無視できる。長期利用の場合、鳥の糞等によって太陽電池面が汚れ発電能力が落ちるため、2~3ヶ月ごとに清掃する必要がある。 3. データ収集やデータベース化、電源制御のためのソフトが別途必要であるが、インターネットに接続しているため、このソフトはどこで稼働させても良い。運用コストの節減とデータの有効利用のため、中央農研のPCクラスタ等公的機関で一括して行うのが望ましい。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | コスト 水田 データベース モニタリング |