衛星データとアメダスデータを入力に用いる水稲の収量予測モデル

タイトル 衛星データとアメダスデータを入力に用いる水稲の収量予測モデル
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 1998~2003
研究担当者 井上君夫
中園 江
脇山恭行
発行年度 2003
要約 水稲の収量内容決定期における、衛星データから得た植生指数およびアメダスの日照時間から推定した日射量と気温を用いた収量予測モデルを開発した。予測モデルは、収量内容決定期の乾物生産量を表す植生指数と日射量の積および乾物生産量に及ぼす気温の影響を説明変数とした重回帰モデルである。
キーワード アメダスデータ、衛星データ、植生指数、収量内容決定期、収量予測、水稲
背景・ねらい
リモートセンシングによる水稲の収量予測法を確立するためには、解決すべき課題が幾つかあげられる。その中で、気象条件が変動する年次間予測の精度向上が重要な課題の1つである。そこで、水稲を対象に収量内容決定期における衛星データおよびアメダスデータを用いた精度の高い収量予測法の開発を行う。
成果の内容・特徴 1.
植生指数(NDVI)が、日射吸収率と相関の高い(Wiegand et al.,1989:Leblon et al.,1991)ことに基づいて計算した収量内容決定期(出穂期10日前から出穂期30日後までの40日間)の日射量と衛星データから得た出穂期の植生指数との積(SR・NDVI)は、植生指数、日射量に比べて収量との相関係数が高い(図1)。日射量と植生指数の積により収量内容決定期の乾物生産量を表すことができる。
2.
羽生・内島(1967)の方法により計算した収量内容決定期の乾物生産効率(収量/日射量)は、平均気温が21.3℃で最も高くなる。この関係を用いることによって、同時期の乾物生産量に及ぼす気温の影響を表すことができる(図2)。
3.
以上の結果に基づいた水稲の収量予測モデルは、説明変数に収量内容決定期の日射量と出穂期の衛星データより得られた植生指数との積(SR・NDVI)と乾物生産効率が21.3℃で最も高いことを示す(T-21.3)2を用いる重回帰モデルである。
4.
日射量は、以下の式(グリーンエナジー計画、1985)で日照時間を用いて推定する。
 S/S0 = a(τ/τ0)2+b(τ/τ0)+c
ここで、Sは求める日射量(MJ/m2)、S0は大気圏外日射量(MJ/m2)、τはアメダスより得た日照時間(hr)、τ0は可照時間(hr)、a~cは地域によるパラメータである。推定式は、日射量と日照時間を測定している松本、富山および福井で求め、この式を用いて各地の日射量を推定する。収量内容決定期における推定日射量のRMSEは、1.4 MJ/m2(平均日射量18.8 MJ/m2)である。
5.
富山、石川および福井の北陸3県と長野県を対象地域とした場合、重回帰分析により得られた水稲の収量予測式は(1)式のように表される。また、予測収量のRMSEは33.7kg/10a(平均収量533kg/10a)である(図3)。
成果の活用面・留意点 1.
収量予測の対象は市町村である。
2.
利用した衛星データは1984年8月14日、1986年8月20日および1999年8月8日の出穂期頃のランドサットTMである。3カ年の衛星データ、アメダスデータおよび収量データは、55であった。そのうち、43のデータを予測式の導出に、12のデータを予測式の検証に用いた。
図表1 211203-1.gif
図表2 211203-2.gif
図表3 211203-3.gif
図表4 211203-4.gif
カテゴリ 水稲 リモートセンシング

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