タイトル | 水稲の生育を診断する非接触の携帯式生育情報測定装置 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター |
研究期間 | 1998~2006 |
研究担当者 |
堀尾光広 西村洋 紺屋秀之 林 和信 市川友彦 後藤隆志 手島 司(株)荏原製作所 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 近赤外用と可視光用の分光フィルタ付きフォトダイオードを上向きと下向きに一対として、水稲等の作物からの分光反射率を測定し、水稲の茎葉窒素含有量などの生育情報を取得する携帯式の測定装置。携帯してほ場内に入り簡易なボタン操作をすることで、1回に8株程度の生育量や茎葉窒素含有量などを測定できる。 |
キーワード | リモートセンシング、水稲、茎葉窒素、葉色、草丈、茎数、穂肥 |
背景・ねらい | 米の高品質化のために適切な施肥設計を行うには、判断材料となる生育情報を取得することが重要となる。茎数、草丈、葉色などを測定して行われる現行の生育診断法では、測定に時間がかかるために測定点数が限られ、ほ場内の生育むらの把握が困難なこと、測定場所の選定を誤ると平均値の誤差が大きくなることなどの問題がある。そこで、携帯してほ場内に入り、簡易なボタン操作で測定できる装置の開発を行った。 |
成果の内容・特徴 | 1. マーカロッド先端を水稲の草高に合わせ、水準器で水平を確認したうえで測定ボタンを押すと、ロッド先端を中心とする直径約60㎝の範囲内の測定を行うことができる(図1)。 2. 低照度(3000Lux以下)及び低太陽高度(30度以下)の場合、測定ボタンを押すと警告表示し、測定・記録は行わないため、雨天時以外は使用条件に配慮する必要がない。 3. 上下センサ値から求めた分光反射率をもとに、生育量と相関が高いことで知られるNDVI(正規化植生指数:(NIR-R)/(NIR+R))を演算し、GI値(=NDVI×100、Growth Indexの略)として表示することができる。 4. 内部メモリに、データラベル、測定日時と時刻、上下センサ値、各波長の分光反射率、GI値、位置情報(GPS接続時)等を、最大999地点まで記憶でき、付属ソフトを使って測定後にCSVファイルとしてパソコンへ転送することが可能である。 5. GI値と現行の生育診断に用いられる「葉色(SPAD値)×茎数×草丈」との関係は、生育ステージごとに関係式が異なるものの、高い正の相関がある(図2)。 6. GI値と「茎葉窒素含有量(g/㎡)」との関係においても高い正の相関があり、かつ生育ステージが異なっても同一の関係式を適用することができる(図3)。 7. 軽量(電池を含め約1.15㎏)で1人作業による多点測定が容易であるため、慣行の測定に比べ作業者への負担が少ない。 8. 1回の測定に要する時間は1s以下で、作業能率は、生育マップ作成のため2.5m間隔でメッシュ状に測定するときは70a/h程度、ほ場1筆の平均を求めるときは1.5ha/h程度である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 測定者の影が入らないように、測定者は太陽との位置関係を配慮する必要がある。 2. 「茎葉窒素含有量」を推定するためには、品種ごとにGI値との関係を求める必要がある。 3. 「葉色(SPAD値)×茎数×草丈」を推定するためには、品種ごと及び生育ステージごとにGI値との関係を求める必要がある。 4. きめ細かな施肥設計に基づく高品質米生産技術などに活用できる。 5. 高性能農業機械実用化促進事業に移行する。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | GPS 水稲 施肥 品種 リモートセンシング |