タイトル | 暖地水田作における点播直播を核とする新技術体系の導入効果 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 | 1997~2003 |
研究担当者 |
笹原和哉 笹倉修司 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 暖地水田作経営において,打込式代かき同時土中点播直播を核とする新技術体系の導入は,最大年間約270万円所得が増大する。経営規模が20ha以下の場合,水稲移植をやめ,汎用型直播機による全作物の作付けを行う方が所得が高い。 |
キーワード | 代かき同時土中点播直播,サチユタカ,イワイノダイチ,西海238号 |
背景・ねらい | 九州沖縄農研は点播直播技術を核とした,新技術体系(水稲・麦・大豆汎用播種技術,点播機の播種同時施肥装置,早生大豆品種サチユタカ,晩播水稲系統西海238号,収穫時期早進小麦品種イワイノダイチ等)を開発している。そこで,過去6年の降水量変動,輪作体系を考慮した数理計画法による3種類の営農モデル(①従来の点播直播採用段階,②新技術体系導入段階,③新技術体系導入の上,田植機,育苗用播種機を保有しない場合。)を用い,表1に示す前提のもとシミュレーションによって,暖地水田作経営において新技術体系を導入する場合の所得増大効果について評価する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 新技術体系の導入により,直播が水稲作付面積全体の7割を占めることや,大豆,小麦の作付面積が増大すること等により,大豆による輪作体系を維持する最大の経営面積は,従来型の点播直播採用段階の24.9haから27.3haに拡大する(図1)。このとき,所得は年平均約270万円増大する(表2①②の比較)。 2. 経営面積が20ha以下の経営に新技術体系を導入する場合,稲・麦・大豆を全て汎用型直播機が播種する体系(③)の方が,所得は高い。それ以上の規模では作期分散のために移植との組み合わせが必要となる(表2②③の比較)。 3. ②における技術毎の導入効果をみると,サチユタカの導入は1ha以上の水稲,大豆の規模拡大をもたらし,12月の大麦播種を減らすため,最大で120万円程度の所得増大効果を持つ。また,新水稲系統西海238号は仮にヒノヒカリ並みの価格水準となる場合には,導入によって水稲直播面積が2.9ha拡大するため,最大で90万円程度の所得増大効果がある(表3)。西海238号の価格をヒノヒカリの価格から10%ずつ低下させると,ヒノヒカリの80%程度までは導入効果が見られる(表3下3行)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 暖地水田作経営への水稲直播技術導入の指針となる。 2. 水稲直播栽培におけるスクミリンゴガイ被害は,前年も水稲を作付けした水稲直播圃場にメタアルデヒド剤(3225円/10aと設定)を,また全水稲直播圃場に網(500円/10a)を使用することにより,②のモデルにおいて試算した場合,最大16万円程度の費用で抑えられる。ただし,平成16年2月現在,メタアルデヒド剤は稲のスクミリンゴガイ防除薬剤としては農薬未登録の状況である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 病害虫 育苗 規模拡大 経営管理 小麦 直播栽培 水田 水稲 スクミリンゴガイ 施肥 大豆 農薬 播種 品種 防除 薬剤 輪作体系 |