ダイズ「サチユタカ」の狭畦密植栽培と除草剤を組み合わせた雑草防除

タイトル ダイズ「サチユタカ」の狭畦密植栽培と除草剤を組み合わせた雑草防除
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 1999~2003
研究担当者 大段秀記
住吉正
小荒井晃
児嶋清
発行年度 2003
要約 「サチユタカ」を条間35cmの狭畦栽培することにより雑草量は減少し、播種直後土壌処理除草剤もしくはイネ科雑草対象の茎葉処理除草剤のいずれか一つと組み合わせると省力的かつ安定的に雑草を防除できる。
キーワード 狭畦栽培、サチユタカ、雑草防除、除草剤、ダイズ
背景・ねらい
 北部九州の大豆栽培における雑草防除は播種期が梅雨時期に重なることから、播種直後の土壌処理剤が処理できなかったり、降雨により適期に中耕・培土ができないことも多く、安定性に欠ける。大豆は密植することにより、雑草抑制効果が期待できるが、現在の九州の主要品種では倒伏の問題があることから密植は困難である。新品種「サチユタカ」は早生・短稈で耐倒伏性に優れ、密植栽培が可能であることから、狭畦栽培が可能である。そこで、サチユタカの狭畦栽培による雑草抑制効果を明らかにし、除草剤との組み合わせによる安定的で効果的な雑草防除技術を確立する。
成果の内容・特徴 1.
サチユタカはフクユタカに比べて植被率が高く推移し、茎葉による地表面の被覆が早く、条間35cmおよび25cmの狭畦栽培によりさらに早く地表面を覆う(図1)。
2.
条間35cmおよび25cmの狭畦栽培では、慣行の条間70cmよりも雑草量は減少し、その効果はイネ科および広葉雑草の両方に対して認められ、特に広葉雑草に対して顕著である(図2)。また、条間35cmと25cmでは雑草抑制効果に差異は認められないが(図2)、条間25cmでは倒伏することがあるので(データ略)、条間35cmが適する。
3.
雑草の発生本数には条間による明確な影響が認められず(データ略)、狭畦栽培における雑草量の減少は、個体当たりの雑草生育量の抑制によるところが大きい。
4.
慣行の条間70cmにおいては、中耕・培土を行わない条件では播種直後土壌処理除草剤(ベンチオカーブ・ペンディメタリン・リニュロン細粒剤)やイネ科雑草対象の茎葉処理除草剤(テプラロキシジムまたはクレトジム)の処理だけでは十分な防除効果が得られないことがある(図3)。条間35cmではイネ科雑草優占圃場、広葉雑草混生圃場いずれにおいても、土壌処理除草剤もしくはイネ科雑草対象の茎葉処理除草剤のどちらか一方を処理することによって、慣行栽培で播種直後に土壌処理除草剤を処理し、中耕・培土を適期に行ったとき(雑草量対無処理区比約1%)と同等の高い防除効果が得られ(図3)、結果として、降雨により除草剤が処理できないリスクが低減する。
成果の活用面・留意点 1.
「サチユタカ」の狭畦栽培の雑草防除に活用する。
2.
本試験の範囲では狭畦栽培によって「サチユタカ」の収量は慣行栽培と同等以上が確保されたが、収量・品質に及ぼす最適栽培様式については今後の検討が必要である。
3.
灰色低地土水田における株間20cm、1株2本立て、無中耕・無培土条件での結果である。
図表1 211312-1.gif
図表2 211312-2.gif
図表3 211312-3.gif
カテゴリ 病害虫 狭畦栽培 雑草 除草剤 新品種 水田 大豆 土壌処理 播種 品種 防除

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