タイトル | 粒厚選別および比重選別がコムギ赤かび病マイコトキシン低減に有効な根拠 |
---|---|
担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 | 2003~2004 |
研究担当者 |
中島隆 草原典夫(島原農改) 坂田智子(九州三共) 吉田めぐみ |
発行年度 | 2003 |
要約 | 赤かび病菌に感染したコムギでは粒厚が小さくなるほど赤かび粒率が高くなり、マイコトキシンの濃度が高くなることから粒厚選別はマイコトキシンの低減に有効である。健全粒と粒厚が同じ赤かび粒は千粒重が軽いことから、比重選別を併用することでより効果的に選別できる。 |
キーワード | コムギ、デオキシニバレノール、DON、ニバレノール、NIV、選別法 |
背景・ねらい | 厚生労働省が平成14年に設定したコムギについてのデオキシニバレノールに関する暫定基準に対応するマイコトキシン低減技術の開発が早急に求められている。FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)のレポートにおいて、粒厚選別および比重選別機等による選別調製が赤かび粒の混入程度を軽減し、DON濃度の低減に効果があるとする記述がある。しかし、現段階において我が国ではその効果は実証されていない。このため、自然感染の試料を収集し、粒厚別の赤かび粒の混入割合とマイコトキシン(DON、NIV)汚染程度を調べ、マイコトキシン低減選別技術の基礎資料とする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 今回調査した10地点の結果では、粒厚は2.8-2.6mmの部分の占める割合が最も多く、2.6mm以上の粒厚では各地点ともDON+NIVが1.1ppm以下である(図1,3)。 2. 粒厚が2.2mm以下になると赤かび粒率が急に増加する(図2)。 3. 粒厚が小さくなるとマイコトキシン汚染濃度が高くなる。この関係はDONまたはNIVの単独汚染圃場でも混合汚染圃場でも共通して認められる(図3)。 4. 自然発生圃場の赤かび粒と外観健全粒のマイコトキシン濃度を比較すると7~20倍の違いがある。外観健全粒からもDON、NIVは検出される場合があるが、赤かび粒の除去は試料全体の汚染低減に大きな効果がある。 5. 赤かび粒は健全粒と粒厚が同じでも千粒重が10-30% 軽い(図4)ことから比重選別により赤かび粒を効果的に除去できる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 赤かび病が激発した場合は選別により収量の大部分を失うことになる。また、外観健全粒の汚染が高い場合は基準値以下にすることが困難な場合も想定される。 2. 地域ごとの粒厚選別及び比重選別に関するデータを蓄積し、発病程度・コムギ品種・栽培条件および気象の年次変動等に対応した選別調整技術の構築が必要である。 3. オオムギについては別途検討する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 大麦 栽培条件 品種 |