気象観測ロボット網を活用する250mメッシュの小麦成熟期予測

タイトル 気象観測ロボット網を活用する250mメッシュの小麦成熟期予測
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2002~2004
研究担当者 鮫島良次
濱嵜孝弘
廣田知良
発行年度 2004
要約 市町村に複数配置される気象観測ロボットのリアルタイムデータを使用して、250mメッシュ気象値を推定し、これを出穂期から計算開始するDVRモデルに与えて小麦成熟期を250mメッシュで予測する。一連の作業はアプリケーションにより自動実行できる。
背景・ねらい
北海道芽室町の主要作物は小麦で、収穫コンバイン55台が共同利用されている。収穫適期に達した圃場から順番に効率よく収穫機械を配置・運用しないと穂発芽・低アミロ小麦発生により品質低下する。そのため、圃場毎の成熟期予測が必要である。
そこで、町内に8台配置されている気象観測ロボットデータを活用して250mメッシュ気象値を推定し、これをDVRモデルに与えて250mメッシュで小麦成熟期を予測する。一連の作業を自動実行するアプリケーションを開発する。
成果の内容・特徴

1.
数年間分の気象観測ロボット日別データ(日平均・最高・最低気温、日平均・最低湿度、日降水量)を、気象要素別に階級区分する。各要素・各階級の重回帰式を作成する。
2.
任意の日の250mメッシュ気象値を次のように推定する。ロボット観測値を取得し、重回帰式による計算値との残差を求める。各メッシュ地点について、この残差を距離重みづけ法により配分する。
3.
小麦「ホクシン」の成熟期を次のように推定する。北海道では融雪時期が発育の遅速に影響するが、融雪期の高精度推定はできない。そこで、出穂期から計算開始するDVRモデルを作成する。一方、現地の生育調査の出穂日データを使用して、未調査地点の出穂日を推定する重回帰式を作成し(毎年作成)、全メッシュ地点の出穂期を推定する。
4.
以上を統合すると、図1に示すフローにより250mメッシュ気象値の推定と、成熟期予測が行える。成熟期の推定は、出穂期の調査データが揃った時点から、日々更新して行うことができる。
5.
開発したアプリケーションにより、図1の一連の作業は自動実行される。芽室町全域を対象として、3次メッシュコードに補助コードを付加した250mメッシュコード毎の、気象値と成熟期予測値が出力される。このアプリケーションは芽室町農業協同組合で地理情報システムと併用して運用され、圃場毎の成熟期情報を提供している。また、250mメッシュ気象値は、別途開発された低アミロ予測システムへの入力データに使用される。
成果の活用面・留意点 1.
開発したアプリケーションは、気象観測ロボットを有する市町村やJA等で利用できる。地理情報システムとの併用が望ましい。アプリケーション移植に必要なチューニングや精度確認作業は、気象コンサルタントに作業委託できる。
2.
日別日平均気温、相対湿度、日降水量と成熟期のメッシュ値の推定誤差は、RMSE(誤差の二乗平均)が0.3℃、2.9%、2.0mm、2.5日である。
3.
アプリケーション導入後に必要な作業は、未調査地点の出穂期を推定する重回帰式を作成するための生育調査である(毎年実施する)。その際、極めて生育が遅いなど生育異常を示す圃場は対象としないこと。
図表1 211389-1.png
カテゴリ 小麦 収穫機 ロボット

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