タイトル | 凍土層下の非凍結土壌のマトリックポテンシャルを計測するためのテンシオメータ | ||||||||
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究センター | ||||||||
研究期間 | 2002~2004 | ||||||||
研究担当者 |
奥野林太郎 岩田幸良 広田知良 |
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発行年度 | 2004 | ||||||||
要約 | 地上部と凍土層部を断熱し、中に小さな熱源を入れることで測器内の水の凍結を防止し、土壌凍結期間を通して凍土層下の非凍結土壌のマトリックポテンシャルを計測する。これにより、積雪・土壌凍結地帯の冬季の土壌水分移動の把握が可能となる。 | ||||||||
キーワード | 寒地、凍土層、テンシオメータ、土壌水分移動、積雪 | ||||||||
背景・ねらい | 寒地・寒冷地における冬季の土壌水分移動は、土壌凍結層の発達や積雪により温暖な時期とは全く異なると考えられる。しかし、積雪・土壌凍結環境下での土壌水の移動に関する情報は、手法が確立されていないのでほとんど無い。そのため、例えば融雪期の土壌浸食量の把握や冬期間の肥料の溶脱量の把握などができないことが問題となっている。 そこで、積雪・土壌凍結地帯の水移動の詳細を長期的にモニタリングするため、凍土層下の非凍結土壌のマトリックポテンシャルを計測する測器を開発する。 | ||||||||
成果の内容・特徴 | 1. 既存のテンシオメータの地上部と凍土層部分を断熱材で覆い、さらに小さな熱源(1~2W程度)を入れることでテンシオメータ内の水の凍結を防止できる。これにより、積雪・土壌凍結期間でも凍土層下の非凍土壌のマトリックポテンシャルが連続かつ長期的に精度良く計測できる(図1)。 2. ポーラスカップと断熱箱(図1-①)の距離を確保することで、熱源の影響、設置時の土壌の攪乱、測器への水補給時の積雪層の攪乱などによる計測結果への影響が緩和される。 3. 箱の底部を土中に埋設することで、凍上で断熱箱が持ち上げられて断熱材に亀裂が発生することが避けられる(図1-①)。 4. 圧力センサとポーラスカップを結ぶ導管部分に角度をつけることで、測器底部の水平部分(図1-②)に析出した空気が測器上部に容易に排出可能となる。 5. 本測器により凍土層下の異なる深さのマトリックポテンシャルを観測することで、土壌凍結発達に伴い大きな駆動力で凍土層に水が吸い上げられること(図2-①)、積雪による断熱後は凍土層下層がゆっくりと湿潤化し水移動の方向が鉛直下向きに変化すること(図2-②)、融雪に伴う融雪水の凍土層下層への進入時期(図2-③)などが観測される。
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