畑作生産に由来する温室効果ガス発生量のLCAによる算定法と十勝地域の大規模畑作への適用

タイトル 畑作生産に由来する温室効果ガス発生量のLCAによる算定法と十勝地域の大規模畑作への適用
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2000~2002
研究担当者 古賀伸久
中野 寛
発行年度 2004
要約 作物生産体系全体から発生する温室効果ガス発生量のLCAによる算定方法を提案し、その方法を十勝地域の大規模畑作に適用すると、1年あたりの温室効果ガス発生量(CO2換算値)は、小豆の1.72 t CO2/haからてんさいの2.71 t CO2/haとなる。
キーワード LCA、温室効果ガス、地球温暖化ポテンシャル、大規模畑作
背景・ねらい
地球温暖化の原因となる温室効果ガスの発生は、農業が引き起こす環境負荷の一つであり、その低減が求められる。畑作農業では、機械作業、収穫物の輸送や農業資材の消費を通して化石燃料の燃焼から直接、間接的にCO2が発生する。土壌面では、土壌有機物の分解、蓄積によりCO2が発生、吸収されたり、窒素施肥によるN2O(亜酸化窒素)の発生やCH4(メタン)吸収も起こる。このように作物生産体系は、温室効果ガスの発生・吸収を伴う多くの生産工程を含むので、生産体系全体を対象とするLCA(ライフサイクルアセスメント)手法を用いて、十勝地域の大規模畑作から発生する温室効果ガス量を算定する。
成果の内容・特徴 1.
畑作生産に関与する温室効果ガスは、主にCO2,
N2O, CH4であり、これらの発生、吸収量を求めるため、LCA手法による表1の算出方法を提案する。
2.
地球温暖化ポテンシャル(CO2:1,
N2O:296, CH4: 23、IPCC (2001))を用いて、3種の温室効果ガスの発生、吸収量をCO2換算すると、作物種別の年間温室効果ガス発生量は、小豆の1.72 t
CO2/ha/年~てんさいの2.71 t CO2/ha/年となる(図1)。
3.
いずれの作物においても、全体の温室効果ガス発生量に対して、CO2間接排出の寄与が最も大きい(37~63%)ことから、農業資材の節約は、温室効果ガス発生量の効果的な抑制につながる(図1)。
4.
全温室効果ガス発生量に占めるN2O発生の割合は、2~15%と低い。これは窒素施用量に対するN2O-Nの割合が低かった(0.36%)ためである。CH4吸収の温室効果ガス発生抑制効果はわずかである(図1)。
成果の活用面・留意点 1.
表1のCO2排出係数は更新されるので、最新の値を使用する。
2.
土壌におけるCO2、N2O発生、CH4吸収は土壌の種類や圃場管理作業に左右されるので、対象となる土壌、栽培体系が変更になる場合は、新たにデータを取得するか、ほかの文献値などを利用する必要がある。
図表1 211406-1.gif
図表2 211406-2.gif
カテゴリ 栽培体系 施肥 てんさい 圃場管理 輸送

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