タイトル | リンゴ火傷病菌のリンゴ成熟果実への侵入と生存 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 2004~2006 |
研究担当者 |
井上康宏 吉田幸二(果樹研) 後藤正夫(静岡大) 小原達二(横浜植防) 松浦貴之 水野明文(横浜植防) 塚本貴敬(横浜植防) 畔上耕児 別所英男(果樹研) 木村 茂(横浜植防) |
発行年度 | 2004 |
要約 | リンゴ火傷病菌は、果梗に接種すると成熟果にも侵入し、維管束に沿って拡がる。接種後3~4日でがくあ部側に達し、維管束周辺では約108cfu/cm3になる。9月下旬から10月上旬に結果枝へ接種すると、成熟果実内へ侵入し増殖するが外部病徴は現さない。 |
キーワード | リンゴ、火傷病、果実、侵入、増殖、検疫 |
背景・ねらい | 火傷病はリンゴやナシの重要病害のひとつで、国内未発生である。このため我が国は、火傷病発生国からのリンゴ果実の輸入に際しては必要な植物検疫措置を講ずることを条件としてきた。 従来、火傷病菌は未熟果へは侵入して腐敗させるが、成熟した果実には侵入・生存できず、成熟果実による長距離伝搬の可能性は低いと考えられてきたが、それを裏付ける実験データはない。そこで、火傷病菌を高精度に検出する方法を開発し、これを明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 火傷病菌を発光遺伝子で標識し、リンゴ果梗・果肉、結果枝への接種、経時的な2次元ルミノメータによる観察、再分離によって、病原細菌の果実における挙動が解析できる。 2. 図1A,B)。 3. 図1C,D,E)。維管束周辺の細菌密度は108cfu/cm3程度になる。 4. 果梗に接種した火傷病菌は、接種後3~4日でがくあ部側や表皮直下に達する。 5. 果肉に接種した火傷病菌は、果実の成熟度に関係なく25℃で容易に増殖し 2~4週間あるいはそれ以上生存する。 6. 火傷病菌は、9月下旬から10月上旬に鉢植え結果樹の結果枝に接種すると、離層を通過して成熟果実に侵入し増殖するが、外部病徴は現さない。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本成果は、わが国のりんご火傷病に対する植物検疫措置のあり方に関する科学的根拠として利用できる。 2. 本成果は、室内実験によって得られたものであり、果実への接種には収穫翌日のものを、結果枝への接種には閉鎖系温室内で育成した鉢植え樹を供試した。 |
カテゴリ | 病害虫 植物検疫 りんご |