タイトル | 畦畔管理に適した短稈型チガヤの生育特性 |
---|---|
担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 | 2002~2004 |
研究担当者 |
渡辺 修 大谷一郎 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 国内野生集団から見いだされた短稈型チガヤは、刈り払い後の草丈が20cm以下で推移し、シュート数が250本/m2で群落の成立密度が極めて高く、地上部乾物重も小さいことから、畦畔の省力管理を目的とした導入植物として有望である。 |
背景・ねらい | イネ科多年草のチガヤは畦畔植生の二次遷移過程の中で優占的に生育し、地下茎の発達に優れ斜面の土壌保持力が高いが、刈り払い後の再生力が強く草丈も高いため、定期的な刈り払い管理が必要である。チガヤの国内野生集団の中には草丈の低い系統が見いだされており、畦畔管理の省力化を進める上で短稈型系統の利用が望まれる。そこで、圃場において短稈型チガヤ(宮城県産)と普通型(長野県産)の比較栽培試験を行い、生育特性を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 無刈り取り条件の短稈型チガヤの草丈は最大でも30cmであるのに対し、普通型チガヤは生育初期から40cmを超え、9月下旬には80cmに達する(図1)。シュート数は短稈型が250本/m2で普通型と比べ約100本多く、短稈型は群落の成立密度が極めて高い(図1)。 2. 普通型チガヤは刈り払い後2週間以内に草丈30cmまで再生するが、短稈型チガヤは2ヶ月以上、草丈20cm以下で推移する(図2)。 3. 短稈型チガヤのLAI(葉面積指数)は0.5で普通型の40%である(図3)。葉の垂直分布構造は普通型と大きく異なり、0-20cmの層のLAIが0.2を示すことから地表付近を葉が密に覆う傾向がある(図3)。 4. 全乾物重は短稈型で383g/m2、普通型で505g/m2であり、短稈型の地上部重量は普通型の半分程度である(図4)。短稈型の地下茎重量は普通型とほぼ同等の250g/m2を示し、地下部への乾物分配率が高く、土壌保持力は普通型と同等と考えられる(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 短稈型チガヤの特性である刈り払い後の低い草丈と高い群落密度、地上部乾物重の少なさは早期の群落被覆と低草化による作業強度の軽減に有効であり、畦畔用の被覆植物として優れている。 2. 短稈型チガヤの群落を成立させる過程で、普通型チガヤとの種内競合や他草種との種間競合の強さを検討する必要がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 畦畔管理 省力化 |