タイトル |
静電容量によるウンシュウミカン根量の非破壊測定法 |
担当機関 |
(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 |
2003~2007 |
研究担当者 |
草塲新之助
森永邦久
村松昇
島崎昌彦
星典宏
|
発行年度 |
2005 |
要約 |
ウンシュウミカン樹の主幹および根域の土中に挿入した電極間の静電容量をLCRメータを用いて測定することで、カンキツ根の乾燥重を非破壊的に推測できる。
|
キーワード |
静電容量、根量、非破壊測定、ウンシュウミカン
|
背景・ねらい |
ウンシュウミカンの隔年結果を軽減するためには、樹勢を適正に保つ必要がある。樹勢を把握する指標として葉数や葉色など地上部に関しては計測機器等により測定可能であるが、地下部に関しては有効な計測手段がない。そこで、カンキツ樹の根量を簡易的、非破壊的に計測する手法を開発する。
|
成果の内容・特徴 |
- 携帯型LCRメータを用い、カンキツ樹の主幹および根域の土中に挿入した電極間の静電容量を測定することにより、カンキツ樹の全根の乾燥重を推定する(図1)。1年生作物での例はあるが、永年生作物では初めてである。
- 露地栽培ウンシュウミカンにおいて検討した結果、土中に挿入する鉄棒(50cm×6mm)は、株元からの距離(0∼40cm)や深さ(0∼40cm)を変化させても静電容量値の変化は5%以内であるが、鉄釘(37mm×2mm)の挿入位置は接ぎ木部から5㎝以上では高さが高いほど静電容量値は小さくなる(データ省略)。
- 周波数が可変のLCRメータを用いて、ポット植ウンシュウミカンの静電容量値を測定すると、測定周波数が高くなるほど静電容量値は小さくなる(データ省略)。
- ポット植ウンシュウミカンでは、土壌水分を徐々に増加させた場合は、土壌水分の増加よりもやや遅れて静電容量値が増加し、1時間程度で最大値に達する(データ省略)。根部の静電容量は土壌水分の影響を受けるため、土壌水分条件を一定にしにくい圃場条件下では、土壌の体積含水率が30%以上でないと信頼できる値が得られない(図2)。
- カンキツ根部の静電容量を測定する場合には、株元より30cmの距離に20cmの深さで土中に挿入した電極および接ぎ木部から5cm上部に1cmの深さで挿入した電極間の静電容量を、30mm以上のかん水を行ってから1時間経過後の土壌の体積含水率が30%以上であることを確認してから測定する。用いた携帯型LCRメータでは120Hzと1kHzの周波数で計測できるが、安定した静電容量値の計測には測定周波数は1kHzとする。
- 根部の静電容量と根部の乾燥重との間には2∼4年生のポット植ウンシュウミカン(1%で有意)および10∼15年生の露地栽培ウンシュウミカンで正の相関が認められ(図3,図4)、幼木でも成木でも応用可能である。
|
成果の活用面・留意点 |
- 樹勢の指標としての根量の評価、優良苗木の評価、「はるみ」等根量が減少しやすい品種における生産力評価、災害や病虫害による根の被害度の調査等に活用できる。
- 本手法が静電容量による根の表面積の推定を計測原理としているため、根系や土壌条件が大きく異なる場合(露地植とポット植等栽培法、樹齢、品種、高EC等)は、新たに検量線を作成する必要がある。
- 計測時における地温の差異や計測時間帯、降雨などによる影響は少ない。
- 落葉果樹など他の樹種においても検量線を作成することで計測可能である。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
図表5 |
 |
図表6 |
 |
図表7 |
 |
図表8 |
 |
カテゴリ |
病害虫
温州みかん
乾燥
接ぎ木
品種
その他のかんきつ
|