刈払機用飛散物防護カバーの防護すべき範囲

タイトル 刈払機用飛散物防護カバーの防護すべき範囲
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター
研究期間 2002~2005
研究担当者 塚本茂善
高橋正光
水上智道
森本國夫
小林太一 
発行年度 2006
要約  飛散物防護性能や作業性を犠牲にせず、草のからみ付きや詰まりが少ない刈払機の開発のための飛散物防護カバーの防護範囲。
キーワード 刈払機、飛散物、飛散物防護カバー、安全鑑定
背景・ねらい  平成10年度に行った刈払機の傷害事故の実態調査では、飛散物による事故が全体の約1/3を占めており飛散物の防護は刈払機の傷害事故減少にとって重要な課題となっている。また、カバーに詰まった草を取り除く際の刈刃による負傷事故も報告されており、その対応も課題となっている。平成14年度に行った農業機械の安全装備と使用実態調査では、「草がからまる」、「作業能率が悪い」という理由から、半数近い人が飛散物防護カバーを正規の取り付け位置からずらしたり、外したりしているという回答をした。そこで、飛散物防護性能や作業性を犠牲にせず、草のからみ付きや詰まりが少ない刈払機の開発のための飛散物防護カバーの防護範囲を策定する。
成果の内容・特徴
  1. 本防護範囲はISO11806で定義されている飛散物防護試験のターゲットゾーン(以下ターゲットゾーン)上において、高さ方向で刈刃180°~90°のポイントから見た防護範囲が地上から400mm以上、刈刃90°~0°のポイントから見た防護範囲が地上から600mm以上、また、横方向で刈刃0°~180°すべてのポイントから見てターゲットゾーンの中心線から右側500mm以上を防護するものである(図1)。
  2. 本防護範囲は、製作した飛散物測定装置(図2)により測定した飛散物の飛散方向測定結果(飛散物防護カバーのない状態での測定)に基づいたものである。各種刈刃の各衝撃ポイント(図3)における飛散物の飛散方向と現行の安全鑑定基準に準拠した飛散物防護カバーの防護範囲を比較したところ、30゜の衝撃ポイントにおける飛散物は現行の飛散物防護カバーで防護できているが、60゜、90゜、120゜、150゜の衝撃ポイントにおける飛散物については、防護できていない部分があることがわかった(図1)が、本防護範囲であれば、飛散物の飛散方向測定結果における図1の水色マスキング部分(高さ2000mm、幅500mm)への飛散物のうちの9割以上を防護することが可能である。
  3. 飛散物防護カバーの刈刃上面部分の有無による作業能率の違いについては、通常カバーと試作カバーA、B(図3)を比較したところ、図4に示すように有意水準1%未満でいずれの試作カバーも通常カバーよりも能率が向上する傾向があり、刈刃の上面を覆うカバーがない方が作業能率が良いことがわかっており、本防護範囲は現行の安全鑑定基準のように刈刃上面に関して規定していないため、草の詰まり等を少なくし、作業能率を向上させることが可能である。
  4. 本防護範囲は現行の安全鑑定基準よりも飛散物防護カバーのサイズを小さくすることも可能であり、現実的で実用的な飛散物防護カバーの製作が可能となる。
成果の活用面・留意点
  1. 飛散物防護カバーの新しい防護範囲として安全鑑定基準への導入を図る。
  2. より効果的な飛散物防護カバーとなることで、作業能率を損なうことなく、傷害事故防止につながる。
図表1 211629-1.jpg
図表2 211629-2.gif
図表3 211629-3.jpg
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