タイトル |
台木用カボチャを斉一に出芽させる方法 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター |
研究期間 |
2002~2005 |
研究担当者 |
重松健太
藤井桃子
小林研
飯田有宣
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発行年度 |
2006 |
要約 |
台木用カボチャを対象として、予め所定の水分に調整した培地へ播種し、播種直後のかん水を行わずに発芽に最適な温度で管理することで出芽率及び出芽の斉一性を高める方法である。これにより、出芽後の苗生育が揃い、接ぎ木などの機械作業の精度向上が見込まれる。
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キーワード |
台木用カボチャ、斉一出芽、出芽率、種子吸水率、培地水分
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背景・ねらい |
接ぎ木や定植などの機械作業においては、生育の揃った苗を使用することにより、作業精度の向上が見込まれる。苗生育の斉一性を向上させるには、生育初期の出芽揃いが特に重要となる。また、接ぎ木苗の生産現場では、必要な苗量より30%程度多く播種を行い、生育の揃った健苗を選別して使用しており、種子代の節減が課題となっている。そこで、台木用カボチャを対象として、斉一に出芽させる方法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 台木用カボチャを対象として、予め出芽に最適な水分に調整した培地をセルトレイへ充填して播種し、播種直後のかん水は行わず、最も発芽の斉一度が高まる温度で管理することにより、培地の水分むらによる出芽のばらつきを回避し、出芽率及び出芽の斉一性を高める方法である。出芽が揃うことでその後の苗の生育においても斉一性が高まる。
- 最も発芽の斉一度が高まる温度の求め方及び培地の水分調整方法は、以下のとおりである。
(1) 最も発芽の斉一度が高まる温度は、濾紙を敷いたシャーレに種子を置床・適量加水したものを人工気象室で管理することにより求める(図1)。 (2) (1)で求めた温度下で、発芽に最適なシャーレへの加水量(図2a)を求め、その際の置床24時間後の種子吸水率(種子吸水量/吸水した種子の質量)を計測する(図2b左)。 (3) 水分状態の異なる培地へ播種し、(2)で計測した種子吸水率と播種24時間後の種子吸水率が同程度になる含水比を明らかにする(図2b)。 (4) 培地の水分調整は、播種する培地の乾燥密度及び水分調整前の培地密度を測定し、両者を比較することにより、水分調整前の培地の含水比及び含水量を推定した後、(3)で見出した含水比になるように加水して行う。
- 台木用カボチャ‘ひかりパワー’の場合、最も発芽の斉一度が高まる温度は28℃であり、発芽に最適なシャーレ(φ240、濾紙φ185×厚さ0.24mm×1枚敷、種子100粒置床)への加水量は20mlである(図2a)。その際の置床24時間後の種子吸水率は、約40%であり(図2b左)、その種子吸水率と播種24時間後の種子吸水率が一致する培地(ピートモス主体)の含水比は約370%(pF1.2程度)である(図2b右)。図3、4に本方法と慣行法の出芽・生育状態を示す。
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成果の活用面・留意点 |
- 本方法で用いた斉一出芽条件の特定方法は、キャベツ(‘YR天空’)へも適用できることを確認しており、他の野菜種子の斉一出芽条件の特定にも応用できる可能性がある。
- ピートモス主体の培地に適用できる。
- セルトレイへ充填可能な範囲(0.54~0.96g/cm3)であれば、培地充填密度は斉一な出芽にほとんど影響しない。
- 本方法のマニュアルを作成する予定である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
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