ホソヘリカメムシ雄成虫の同種他個体に対する誘引性には個体間差がある

タイトル ホソヘリカメムシ雄成虫の同種他個体に対する誘引性には個体間差がある
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2004~2008
研究担当者 安田哲也
山口卓宏
守屋成一
水谷信夫
発行年度 2007
要約  ホソヘリカメムシ雄成虫のフェロモンの成分量および構成比には個体間差があり、必須成分のtetradecyl isobutyrateを保持せずに協力成分のみを保持する個体がいる。雄成虫の誘引数は、tetradecyl isobutyrateの保持量と正の相関がある。
キーワード ホソヘリカメムシ、フェロモン、tetradecyl isobutyrate、雄成虫、ダイズ
背景・ねらい  移動能力が高く、農薬による防除が困難な害虫であるカメムシ類の発生予察・防除にフェロモンの利用が検討されている。ダイズ重要害虫であるホソヘリカメムシでは、雄成虫がフェロモンを放出し雌雄成虫や幼虫を誘引する。本フェロモンを防除等に利用するためには、誘引のメカニズムを明らかにすることが不可欠である。そこで、雄成虫の誘引性とフェロモン成分保持量を個体別に検討し、本種の誘引特性について明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 雄成虫の誘引性は個体間で大きく異なり、日当りでは平均1個体程度であるが、3個体以上誘引するものや全く誘引しないものがいる(図2)。
  2. 雄成虫のフェロモン成分保持量も個体間で大きく異なり、全ての成分を保持する個体、必須成分であるtetradecyl isobutyrateを保持せずに協力成分のみを保持する個体、フェロモン成分を全く保持していない個体がみられる(図1)。その結果、フェロモン成分の構成比も個体によって大きく異なる。
  3. 雄成虫の日当りの平均誘引数は、必須成分であるtetradecyl isobutyrateと有意な正の相関が認められ、誘引性の差をもたらす要因の一つとしてtetradecyl isobutyrateの保持量の差が影響する(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 雄成虫のフェロモンの成分およびその構成比が個体によって一定ではないという結果は、本種のフェロモンによる集団形成のメカニズムとその機能を明らかにする上で、重要な知見である。
  2. 雄成虫のフェロモン成分の構成比と保持量が個体によって異なるという結果は、3成分から2成分(tetradecyl isobutyrate、(E)-2-hexenyl (E)-2-hexenoate)系に改善されたホソヘリカメムシ新規誘引剤が十分な誘引力を有することを支持するものである。
図表1 211673-1.gif
図表2 211673-2.gif
カテゴリ 病害虫 害虫 カメムシ 大豆 農薬 フェロモン 防除

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