タイトル |
都市住民の意識の変化から都市農村交流の今後の展開方向を探る |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 |
2006~2007 |
研究担当者 |
飯坂正弘
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発行年度 |
2007 |
要約 |
都市住民にとって都市農村交流は、13年前に比べ農産物直売所や観光農園といった農産物入手型の活動が普及しているが、今後は体験型の交流活動の増加が見込まれることから、体験型の交流メニューを増やしていくことが今後の都市農村交流の発展につながる。
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キーワード |
都市農村交流、都市住民、農産物直売所、体験型の交流
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背景・ねらい |
ここでは、都市住民がどういった農村との交流に参加し、今後の参加が見込めるのか、そして都市住民はどのような意識を持って都市農村交流に参加しているのか、それらはどのように変化したのかについて、農村休暇法が施行される以前の1994年と施行後10年以上を経過した2007年に、東京都目黒区民を対象として実施した大規模郵送調査の結果をもとに、都市農村交流活動の変化の特徴と今後の展開方向を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 都市農村交流活動を「農産物直売所」「観光農園」「野菜や果物のオーナー制度」「産地見学会」等の農産物入手型の交流と、「伝統工芸技術の体験」「農作業・農村生活体験」「市民農園」「農家民宿」等の体験型の交流に分けてみると、単純集計では農産物入手型の交流活動経験者も活動希望者の割合も増加したのに対し、体験型の交流活動経験者も活動希望者の割合も、「伝統工芸技術の体験」以外微減した(図1)。
- しかし、1994年も2007年も、回答者1人あたりの「参加・利用したことのある活動」の数も「今後参加したい活動」の数も多い。また1994年も2007年も「今後参加したい活動」の数が「参加・利用したことのある活動」の数より多い。これは都市住民が、まだ参加したことはないが参加はしてみたい交流活動が多いことを意味しており、今後も都市農村交流への参加者は、増加が期待できる(図2)。
- 1994年から2007年にかけてのトレンドをみてみると、農産物入手型の交流活動は、衰退もしくは飽和トレンド(参加希望者が参加経験者より少ない)状態にあることから、今後大幅な参加者の増加は見込めない。一方体験型の交流活動は、新規トレンドもしくは持続トレンド(1994年、2007年ともに活動経験者に比べて今後参加を希望する者が多い)状態にあることから、体験型の交流活動は今後も参加者の増加が期待できる(図3)。
- とはいえ、都市住民の農村との関わり方の変化をみてみると、農村との「関わりがない」者の割合が大幅に増加した一方で、農村との関わりを持つ者の割合は、「農村に土地・家屋などを持つ」「農村に住む友人・知人を訪ねる」者以外減少している(図4)。
- 以上から、今後の都市農村交流活動の展開方向としては、農産物入手型よりも「農作業・農村生活体験」といった体験型の交流活動を推進するほうが、農村との関わりが薄くなりつつある都市住民の、農業・農村への理解や関心を高める点からも望ましい。
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成果の活用面・留意点 |
- 都市との交流を推進し、さらには農村定住人口の増加につなげたい自治体の担当者にとって、今後どのような都市農村交流活動をすすめていけばよいか、参考となる。
- 1994年調査の詳細は「中国農業試験場研究資料」第28号を参照いただきたい。
- 本情報のデータは、目黒区民が対象であり、他の都市住民を対象とした場合、結果が異なる場合がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
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