タイトル | 大規模畑作地帯におけるキャベツ導入農家の経営類型と特徴 |
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担当機関 | 北海道農業試験場 |
研究期間 | 1997~1997 |
研究担当者 |
鵜川洋樹 金岡正樹 杉戸克裕 福與徳文 |
発行年度 | 1997 |
要約 | 大規模畑作地帯でキャベツ作を導入した経営は、3つに類型化でき、次のような特徴がある。1)農地規模大・キャベツ規模大の「雇用労働型」、2)農地規模小・キャベツ規模大の「交換耕作型」、3)農地規模中・キャベツ規模小で数品目の野菜を作付ける「家族労働型」。北海道農業試験場・総合研究部・動向解析研究室[連絡先] 011-857-9308 |
背景・ねらい | 大規模畑作地帯の畑作専業経営では、政府管掌畑作物価格が低下する中で、農地面積規模の拡大や集約作物(野菜作)の導入が進められている。大規模畑作経営においては、普通畑作物の輪作的土地利用が生産基盤となっているが、一定規模以上の野菜が安定的に生産されるためには、野菜作がこのような土地利用のなかで合理的に配置される必要がある。 ここでは、野菜のなかでも導入時期が新しく、今後の生産拡大が望めるキャベツを対象に、十勝地域における実態分析に基づき、キャベツ導入農家を類型化するとともに、それらの経営特性を明らかにし、今後求められる野菜作を含む合理的土地利用の確立に資する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 対象地で、キャベツ作が一定規模以上の大きさで畑作経営に 導入され、輪作的土地利用が地域的な課題となっているのは、鹿追町と士幌町であり、 1996年のキャベツ作付は各々68戸(104ha)と80戸(67ha)である。実態分析は、両町から 代表的なキャベツ導入農家等を計24戸抽出し、それらの聞き取り調査により行った。 キャベツ導入農家は、農地面積規模(大中小)とキャベツ作付規模(大小)から、以下の 3つに類型化できる (表1)(表2)(表3)(表4)。 2. 「雇用労働型」は、農地面積規模とキャベツ作付規模がともに大きい類型で、雇用労働力に依存した大規模で精密なキャベツ生産を特徴とし、7人の組作業で高能率の収穫を行うなどして、極めて高収益なキャベツ生産を実現している。土地利用では、キャベツを中心にした輪作が実施されている。普通畑作物価格の低下を補うためにキャベツやアスパラガスの野菜作が導入され、その目的は十分に達成されているが、キャベツ生産は収穫作業の制約から5haが限度とされている。キャベツを含む輪作的土地利用が必要条件である。 3. 「交換耕作型」は、農地面積は小さいがキャベツ作付規模の大きい類型で、交換耕作に依存したキャベツ生産を特徴としている。農地面積が小さく、キャベツや加工用ゴボウの野菜作中心の経営で所得の拡大も実現されたが、主として収穫作業の省力化が進んでいないため夏季は多忙を極め、キャベツ連作も20~30aあることから、交換耕作を畑作農家にも広げ、一層の作付拡大が検討されている。交換耕作に基づく、キャベツの輪作的土地利用が必要条件である。 4. 「家族労働型」は、農地面積規模は中程度でキャベツ作付規模の小さい類型で、家族労働力の範囲内での野菜導入を特徴とし、他にもタマネギや人参などの野菜がキャベツと同等の位置づけで作付られている。野菜生産には雇用労働力を利用しないことから、キャベツの作付規模はどの農家も1ha程度であり、土地利用方式への影響はない。非導入農家に比べ、収益性は高く、規模拡大意向が少なく、経営方式としての安定度が高い。 |
成果の活用面・留意点 | 1. ここでは取り上げなかった農地面積規模が中程度で、キャベツ作付規模の大きい経営は「雇用労働型」に当てはまる。なお、いずれの類型についてもキャベツ導入後の年数は10年以下と短く、今後とも土地利用体系の再編の可能性が残されている。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | アスパラガス 加工 規模拡大 キャベツ 経営管理 ごぼう 省力化 生産拡大 たまねぎ 輪作 |