野菜規格簡素化による産地発展効果と産地対応のあり方

タイトル 野菜規格簡素化による産地発展効果と産地対応のあり方
担当機関 北海道立中央農業試験場
研究期間 1997~1997
研究担当者 三好英実
発行年度 1997
要約 鮮度保持や中心規格のロット拡大等、実需ニーズに適合した販売対応により、市場評価を下げることなく生食向け規格の簡素化が可能である。規格の簡素化は、販売戦略の一環として行うことで産地発展に機能する。
背景・ねらい 国産野菜のコスト低下・競争力強化のため、生産から消費の各界から期待さ
れている野菜出荷規格の簡素化について、消流段階のニーズを明らかにし、産
地の出荷調製体制への改善効果を示すことによって、産地対応のあり方を示
す。
成果の内容・特徴
  1. 野菜の出荷規格は、セリ中心の市場取引における差別化要件として細分化
    が進んだ。 予約相対取引の拡大に伴い、量販店の需要に応えやすい中心規格
    の大ロットや品質・出 荷の安定性、消費者に支持される味・鮮度の内部品質
    の重要性が高まる。一方、小売り 場面では1個売りが減少し外観の揃いに対
    するニーズは緩和している(表1)。
  2. 生食向け規格については、量販店の購買単位の大型化に伴い、大産地化が
    求められて いる。本州出荷が主体のほうれんそうA産地では、ロット拡大の
    要望を受けて、平成8年から規格区分を廃止しコミ規格に一本化した。同時に
    高能率の新資材包装機を導入して共選体制を確立し、出荷市場を絞り込んだ。
    その結果、高単価が獲得でき(表2)、地域の転作作物としての評価が高まっ
    た。産地の販売戦略の一環として出荷体制と販売 対応全体を見直す中で規格
    簡素化を採用したことが成功要因である。
  3. 生食向けの取引には量販店の意向が反映されやすいため、従来市場評価に
    最重要とされてきた規格要件を後退させても、品質差別化や出荷対応によって
    市場競争力をもつ可能性が示された。一方で、加工業務需要の多い品目では安
    価調達のニーズが強く、近年は輸入物の拡大により全体の価格が停滞している
    (表3)。品質による差別化の難しい 加工業務向けについては、市場競争を
    避け、再生産価格による契約的取引へ移行するこ とによって規格簡素化が可
    能である。
成果の活用面・留意点
    市場や品目によって品質差別化に対する評価は異なるので、規格簡素化に当
    たっては取引先ニーズの事前調査が不可欠である。
図表1 211865-1.gif
図表2 211865-2.gif
図表3 211865-3.gif
カテゴリ 加工 コスト 出荷調整 せり ほうれんそう

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