タイトル |
大区画水田の適正区画規模 |
担当機関 |
稲作部 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
:寺元信幸
原令幸
西村直樹
田中英彦
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発行年度 |
1997 |
要約 |
殖民区画の水田を再整備する際のモデルとして設定した、対照標準区画を含めて8タイプの区画について求めた。造成費用・圃場作業効率・投下労働時間等のシミュレーション結果と実規模の大区画水田における水稲の生育・収量調査、水利用状況の調査結果から、適正区画規模は、1~1.5ha程度が好ましい。
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背景・ねらい |
北海道特有の区画形態である殖民区画(545x545m)を基盤とした大区画水田の、 現有作業機械体系を前提とした適正区画規模を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 殖民区画の水田を再整備する際のモデルとして、対照標準区画(殖民区画を
4園区に分割し各圃区を18耕区に等分割したもの。1耕区面積0.36ha)を合め8タイプの区画を設定 した。草刈り面積は、殖民区画を3及び4圃区に分割するモデル(ターン式農道無設定)で大幅に減少す るが、2圃区に分割するモデルではターン式農道のスロープ部があるため僅かの減少にとどま る。大区画水田の造成費は、整地費の他に暗渠、機道、用排水路の更新を含めた区 画整理型で712~896千円/10a、また、用排水残置型では435~459千円/10aを要する(地形勾配 1/300以下)(表1)。
- 機械作業についてシミュレーションを行った結果、園易作業量は、面犠の
増加に伴い増加する傾向を示すが、1haで鈍化し、1.5haを越えるとその増加はわずかである(表1)。 したがって現有機械を使用した連正区画は、面積では1~1.5ha、長辺長では170m程度、短辺長で は実作業幅の4倍以上で偶数工程になることが好ましい。
- 大区画水田利用の10a当たり稲作投下労働時間は対照標準区画水田に比べて
097~1.51時間減少し、15ha規模の水稲作付げ面犠では年間150~230時間の省力化が期待できる (図1)。
- 生育収量では、突き均し工法による切り土・盛り士の影響と水口の影響で
むらが認められる(図2)。前者に対しては既往の対応技術の導入により、後者については水口の適正 配置と取水時刻の適正化を図ることにより、大区画化に伴う生育収量のむらは回避できるものと 判断される。
- 水利用の実態調査から、水口は圃場への給水強度及び対辺までの距離を考
慮して個数と設置位置を定める必要がある。給水強度は概ね6.5mm/h以上、対辺距離は200m以下にす るのが望ましい。
- 大区画水田の整備に当たっては、受益農家の年増加所得額が必ずしも高く
ないことから、高補助率等生産者に対する支援策が必要となる。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成績は、現行の稲作個別経営・栽培体系を前提として大区画水田の適正
区画規模を検討したものである。
- 将来、機械作業体系や、(直はんの導入等により)営農技術体系が変わる可
能性がある場合には、その点を考慮して区画の規模と形状を定めるべきである。
- 区画を大きくすると、圃場の排水能力が悪くなりがちである。したがっ
て、排水不良田は、特にその悪化が危惧されるので、排水路や暗渠等の整備及ぴ維持管理体制の強化並 びに土壌管理に十分配慮する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
経営管理
栽培体系
省力化
水田
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