タイトル |
普通型コンバイン等の汎用利用による小麦穂収穫乾燥システム |
担当機関 |
経営科 |
研究期間 |
1995~1997 |
研究担当者 |
岡田直樹
大村邦男
桃野 寛
|
発行年度 |
1997 |
要約 |
既存のコンバインの刈取り装置を利用して高水分小麦を穂刈する穂収穫と、ばれいしょ貯蔵施設を利用して収穫した穂を堆積乾燥し品質劣化を回避する穂収穫乾燥システムを開発し実用化するための条件を示した。
|
背景・ねらい |
成熟期の小麦を穂のまま刈取り乾燥する穂収穫乾燥法は、穂発芽や低アミロ 化による品質低下を回避し、品質・形質・色沢の面から有効である。穂収穫乾 燥法は、高品質小麦の安定生産に寄与し、既存の体系と比較して作業可能期間 が拡大し、機械・設備・労働力の計画的配置が可能になる等の効果が期待され るが、反面、同時に追加的な投資と労働負担が必要になる。 新規投資を抑えるには、既存コンバインの改造により収穫し、ばれいしょの 通風貯蔵庫を利用する乾燥方法が考えられる。本研究では、穂収穫乾燥法の現 地実証試験によって作業特性を明らかにするとともに、この体系を取り入れる 場合の労働時間、関連経費等を明らかにする。
|
成果の内容・特徴 |
- 穂収穫乾燥体系-Ⅰは、汎用コンバインにアンローダ装置をけん引し、通
風床付きトラックで乾 燥させ、体系-Ⅱは、普通型コンバインのフィーダコンベ ヤ底部にエゼクタを取り付け、刈取り装置 で高刈りした穂を脱穀部に送る前に トラックまで空気搬送し、ばれいしょ貯蔵庫を利用する(図1)。
- コンバインによる穂刈収穫精度は60~70%程度、圃場損失は 4%で、残り
約36%の穂はコンバイ ンの脱穀部に送られグレーンタンクに回収される (表1)。
- 穂収穫能率は、回行に時間を要するアンローダ装置をけん引する体系-Ⅰ
で 0.56ha/h、ha当たり投下労働時間は7.2man・h/haである。体系-Ⅱは開口 部の詰まり除去時間割合が19%と多く0.36 ha/hで、ha当たりの投下労働時間 は 8.4man・h/haである(表2)。
- 穂の堆積かさ密度は80~120kg/m3であった。施設床面積1㎡当たりの収
容量は堆積高さ0.65mで 収穫面積1a分、堆積高さ1.5mで 2.3a程度であ る。
- 乾燥速度は外気温度+ 3~4℃の加温通風で0.7%/h、無加温通風で0.10~
0.12%/hである(表3)。
- 穂収穫乾燥システムは、単収水準が低く穂発芽発生危険率の高い麦作不安
定地帯において効果が 見込まれる。ただし実用化には穂の回収率が90%以上、 2割以上のコスト低減、および穂収穫の作 業能率向上が必要となる(図2)。
- 成果の利活用場面 収量水準が低く、穂発芽発生危険率の高い麦作不安定地
帯
|
成果の活用面・留意点 |
- 成果の利活用場面 収量水準が低く、穂発芽発生危険率の高い麦作不安定地
帯
- 普及上の留意点
1)所有する機械・施設に応じた作業様式が組み立てられ、多様な機械化収穫体 系となる。 2)コンバインのグレーンタンクに回収した子実は、包皮粒や穂切れ、緑粒等を 多く含むので、直ちに ハウス内に薄く広げるか、乾燥ビンに投入して常温通風 を行う。 3)ばれいしょ貯蔵施設を利用する場合の風量比は 2.5m3/s・tを目安とする。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
図表5 |
 |
カテゴリ |
乾燥
機械化
小麦
低コスト
ばれいしょ
|