タイトル |
寒地水田の水管理の実態と試作給水栓の効果 |
担当機関 |
北海道立中央農業試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
長谷川昇司
寺元信幸
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発行年度 |
1997 |
要約 |
田水温と用水温の変動傾向を調査して間断かんがいの効果を再確認し、現地の水管理での、特定の時刻への水需要の集中・掛け流しによる給水ロス等の実態を把握し、自動給水栓・自動止水栓等の試作品を現地に取り入れて、用水の省力的かつ効率的な利用方法を検討した。
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背景・ねらい |
本道における稲作の冷害回避の技術として、間断かんがい、深水かんがい等 の水管理が欠かせない。また現在では水利用の形態が変化して、水需要の集 中・逼迫化・用水不足という問題も発生している。そこで、現地の水管理の実 態を把握し、問題点を解決するために試作した自動止水栓及び自動給水栓の効 果を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 田水温をあまり低下させない適切な取水時間帯は、用水と田水の温度差が
最も少ないか、あるいは、用水温の方が高い、おおむね20時から翌朝6時の 夜間にかけてである(図1、2)。
- 低温の用水をかんがいする地区では、日照不足が予測される日には、予め
圃場への給水を行い、水位を必要な高さにまで上げておくことが重要である。
- 早朝給水と深夜給水の田水温を両者間で比較すると、前者に比べ後者の方
が高い傾向が認められ(図3)、早朝給水と夕方給水では両者の較差はあまり 認められない(図4)。しかし、日中給水では、冷たい用水温の影響を受けて 田水温がかなり低下する。
- 開水路給水の場合は、深夜の用水利用が多いが、その際掛け流しかんがい
のような用水ロスの事例が多く(図5)、今回試作した自動止水栓では、給水 作業の省力化・労務節減効果が認められ、拘束時間の解消、給水時間のシフ ト、並びに用水ロスの減少効果も期待できる。
- 管水路給水の場合は、早朝取水の例が多いため、早朝に水需要が逼迫する
場合が多く(図6)、今回深夜給水を自動化出来るよう改良した自動給水栓で は、水管理作業の省力化・給水時間のシフト・設定水位の安定等の効果が得ら れる(図6)。
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成果の活用面・留意点 |
- 用水温と田水温の変動傾向は、各々の地域の気候・地形条件等によって異
なるため、事前に該当する地域での、変動傾向の実態調査を行う必要がある。
- 全自動給水栓、及び自動止水栓はまだ試作段階であり、今後改良を要する
箇所もある。
- 水田区画規模に対応した必要個数についてはその都度検討すべきである。
- 用水の絶対量が不足している地区や、また代かき期のような連続かんがい
の行われている時期の用水不足については未検討であり、別な手法が必要と思 われる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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カテゴリ |
寒地
省力化
水田
凍害
水管理
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