タイトル |
馬におけるチモシー乾草・サイレージの栄養価と牧草のアミノ酸組成 |
担当機関 |
北海道立新得畜産試験場 |
研究期間 |
1996~1997 |
研究担当者 |
出口健三郎
前田善夫
田村 忠
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発行年度 |
1997 |
要約 |
馬における牧草サイレージの採食性は良好で、乾草と同程度の乾物摂取量となった。乾物消化率や可消化エネルギー含量にもサイレージと乾草の差はなかった。牧草のOb含有率から可消化エネルギー含量の推定が可能であった。粗タンパク質が馬の要求量を満たす含有率であればリジンも要求量を満たす含有率となる。
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背景・ねらい |
馬における同一原料から調製したチモシー乾草とサイレージの採食量、栄養価を比較する とともに、飼養標準を活用するために可消化エネルギー(DE)含量の推定方法を検討し た。併せて、牧草類のアミノ酸含量をしらべた。
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成果の内容・特徴 |
- 乾草およびサイレージを自由に採食させた際の乾物摂取量に差はみられず、両者とも お
およそ体重の2.0%~2.7%の範囲で摂取した。また、1番草と2番草の差はなかった。 乾物 消化率や可消化エネルギー含量にも差はみられなかった。2番草サイレージで摂取 量が少な い例について原因は明らかではないが、サイレージも乾草と同程度の乾物を摂 取するものと 判断した。
- 乾物消化率、可消化エネルギー含量は1番草は収穫までの日数が長くなるにともない 低
下した。2番草も同様に生育日数が長くなると低下すると考えられた。
- 牧草のADF含有率とDE含量との間には
1番草 DE(Mcal/kg)=7.57-0.131×ADF(%) (r=-0.939) 2番草 DE (Mcal/kg)=6.24-0.116×ADF(%) (r=-0.872)関係 が認められ、1番草はA DF含有率からDE含量を推定することは可能である。
- 牧草のOb含有率とDE含量との間には
1番草 DE(Mcal/kg)=4.68-0.043×Ob(%) (r=-0.952) 2番草 DE(Mcal/kg)=3.91-0.031×Ob(%) (r=-0.776) の関係が あった。2番草では相関係数がやや低いが、両式には等分散性、傾き、高さに有意 な差 がないことから1、2番草を込みにして DE(Mcal/kg)=4.34-0.038×Ob(%) (r=-0.898) の回帰式が得ら れる。この回帰式はNRCが採用している推定式の決定係数、式の高さもほ ぼ一致する。 この式でチモシーの馬におけるDE含量の推定が可能である。
- 各アミノ酸含有率は粗タンパク質含有率によって左右されるが、モル比ではほぼ一定の
値となった。生草・乾草・サイレージの間にも差は見られなかった。
- 粗タンパク質含有率が馬の要求量(8%以上)を満たしていればリジンの要求量も満た
す。 (表1), (表2), (表3), (b含有率とDE含量の関係), (b含有率と乾物消化率の関係)
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成果の活用面・留意点 |
- 本試験で得られたDE含量の推定式は北海道和種馬を用いた消化試験から得られたもので
あるが、軽種馬の飼料設計にも利用可能である
- 馬の維持に要する可消化エネルギー量を満たすためにはチモシー早生品種では1番草は出
穂期に、2番草では生育日数60日以内に収穫する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
馬
飼料設計
品種
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