タイトル |
近赤外分析による牧草サイレージの飼料成分推定 |
担当機関 |
北海道立新得畜産試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
伊藤憲治
出口健三郎
石田亨(現道南農試専技室)
堤光昭
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発行年度 |
1997 |
要約 |
道内の飼料分析センターにおける近赤外分析法(NIRS)による成分推定精度の現状と問題点を明らかにすると共に、より高精度のNIRS用検量線を作成して分析センターへ移設した結果、問題のないことを確認した。また、分析値のセンター間差の主要因である、繊維分画における酵素分析方法の違いを統一した。
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背景・ねらい |
道内の飼料分析サービスは複数の農業団体が主に近赤外分析法(NIRS)を用いて行っ ているが、生産現場からは分析センター間で値に差があることや早刈り牧草における成分推 定精度が低いことなどが指摘されてきた。そこで、分析センターでの近赤外分析法(NIRS) による牧草サイレージ中成分推定精度の現状を把握し、問題点を明かにする。また、より高 精度の検量線を作成し、複数の分析センターに移設して用いることにより、分析精度の向上 を図ると共に推定値の分析センター間差をなくすことを目的とする。
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成果の内容・特徴 |
- 道内4カ所の分析センターにおける現状のNIRS成分推定精度は各センターともCP
で高く(精度の判定はB判定以上)、OCWおよびObで低かった(判定B~C)。OCW ではバイアスのずれが特に大きかった(表1)。これは酵素分析方法が分析センターによ り 異なっていることが主要因であると考えられた。
- 新たなNIRS用検量線の作成(キャリブレーション)は、ニレコ社NIRS6500型機種に
より1100nmから2500nmの波長域を用いてPLS回帰分析法により行った。作成したキャリブレ ーションを未知試料39点で検定(プリディクション)した結果、rはADFで0.92とやや 低 かったが他の成分では0.96以上、推定誤差の標準偏差SDPは0.76(CP)~2.00(NDF)と な り、精度の判定はCPでA判定、他の成分ではB判定となった。検量線を2カ所の分析 セン ターに移設した結果、移設による推定精度の低下は認められず、複数の分析センター で同一 検量線の使用が可能であることが確認できた(表2、図1)。
- OCWおよびObの酵素分析値は、αアミラーゼの処理方法または処理の有無により異な
ったため、参画分析センター(ホクレン、十勝農協連、雪印種苗、オホーツク農業科学研 究 センター、浜中町農協)においてはαアミラーゼ処理を加える(分離処理)方法に統一 し た。αアミラーゼ分離処理によるOCWからNDFへの回帰にイネ科とマメ科で明らか な違 いはなかったため、イネ科・マメ科共通のOCWからNDFへの変換式 NDF=0.99×OCW-1.96 n=90 r=0.97 SE=2.63 を得た。
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成果の活用面・留意点 |
- NIRS用検量線はイネ科主体牧草サイレージの飼料成分分析に利用できる。
- 今回作成した検量線はニレコ社NIRS6500型の機械であれば移設が可能である。
- 検量線は、飼料分析サービスを目的とする機関には希望があれば配布する。
- 繊維分画における酵素分析方法の統一は当面のところ今回参画した分析センターのみ
に限定する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
近赤外分析
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