タイトル |
泌乳牛一群管理のためのTMRエネルギー水準 |
担当機関 |
生産技術部 |
研究期間 |
1996~1997 |
研究担当者 |
石栗敏機
遠谷良樹
原 悟志
小倉紀美
森 清一
川崎 勉
草刈直仁
大坂郁夫
塚本 達
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発行年度 |
1997 |
要約 |
一泌乳期間を通して同一のTMRを給与する一群管理方式では、牛群の能力に応じた栄養水準が重要であり、一乳期乳量 9,000kg程度の牛群に対しては、飼料効果、BCSの適正維持から判断して、TDN 73% (粗濃比 65:35) 程度のTMRが適当と判断された。
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背景・ねらい |
フリーストール体系では、「TMR方式」が一般的になりつつある。泌乳牛に給与するT MRは乳期に応じて泌乳期を2~3群に分けて調製することが推奨されているが、飼養頭数 の少ない酪農家においては飼料調製が煩雑になるとともに施設の制約を受けること等から、 群分けが困難な場合も多い。そこで、TMRの利点を活かしながらより簡易に栄養管理する ため、一乳期を通して同一のTMRを給与する「一群管理」の有効性および一群管理に適し たエネルギー濃度について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- TDN含量の高い飼料を一乳期を通して給与した1群高区(粗濃比 50:50,TDN 75%)は、
他に比べて乳量多い傾向がみられたがその差は僅かであった。1群中区(粗濃比 65:35, TDN 73%)の乳量は泌乳前期では少なかったものの、泌乳後期では1群高区と同様に高かっ たこと から、2群区(泌乳前期 粗濃比 50:50,TDN 75%,泌乳後期 粗濃比 80:20,TDN 68%) と同様の 乳量が期待できた。
- 濃厚飼料給与量は、1群中区と2群区はほぼ同じであったが、これに対し1群高区では
約1,000kg 多く必要とし濃厚飼料の利用効率は低かった。
- 1群区では乳量水準の低い個体ほど泌乳後期の体重増加量が多く、乾乳開始時のボディ・
コンディション・スコア(BCS)が高い傾向にあった。この傾向は、1群高区で顕著であっ た。
- 代謝病の発生頭数および血液検査から脂肪肝と診断された頭数は、1群区が2群区に比
べて多い傾向にあった。
- 分娩から初回発情発見までの日数および空胎日数は、1群区が2群区に比べて長い傾向
にあった。 (表1), (表2), (表3), (表4), (表5)
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成果の活用面・留意点 |
- 本成績は2産以上の経産牛により得られたものである。従って、初産牛を除いて一乳期
乳量が9,000kg 程度の牛群を対象とする。
- TMR・一群管理方式の採用に当たっては、健康や繁殖性の低下を防ぐため牛群の能力
の斉一化を図る必要がある。
- 給餌場での牛個体間の競合を緩和するため、TMR給与量や1頭当たりの飼槽スペース
を確保する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
乳牛
繁殖性改善
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