イネドロオイムシの簡便な防除要否判定法

タイトル イネドロオイムシの簡便な防除要否判定法
担当機関 北海道立上川農業試験場
研究期間 1997~1997
研究担当者 橋本庸三
中尾弘志
八谷和彦
発行年度 1997
要約 生産者自らが防除要否を判定し、発生量に対応した適切な防除が実施できるよう、簡便な防除要否判定法を開発した。調査時期予測法を明らかにしたことと、逐次抽出調査法を取り入れて調査を大幅に簡略化したことが特徴である。
背景・ねらい イネドロオイムシについて、生産者自らが実施できる簡便な防除要否判定法(簡易モニタ
リング法)を明らかにするとともに、これに関連する発生予測技術の精度向上を図り、北海
道のクリーン農業における発生対応型防除技術の定着を図る。
成果の内容・特徴
    要防除水準を活用した本種の薬剤防除は、卵塊数(孵化殻は除く)によって防除要否を判断
    し(2.0卵塊以上/株が要防除、1.0卵塊以下が防除不要)、幼虫加害初期に薬剤を散布するの
    が基本である。以下のように卵塊数を調査すれば、簡便に防除要否が判定できる。
  1. 卵塊の数え方:調査は、1~3粒程度の小卵塊や葉裏の卵塊の数え落しに特に注意をせ
    ず、能率的に行う。
  2. 調査時期:適期は、卵塊数がピークとなる時を中心とした10日前後の期間である。以下
    のいずれかの方法を用い、圃場観察を励行するとともに、発生予察情報を活用する。
    (1) 卵塊の孵化状況を目安に調査適期を知ることができる。適期は、孵化殻(塊)の数が 卵塊
    数の1~5割になった頃から卵塊数とほぼ等しくなった頃までである(図1)。
    (2) 5月21日以降に最高気温が初めて25℃を超えたら、その日付け(5月X日)と式 Y=15.18 +
    0.298X によって調査適期(6月Y日)を求めることができる(早見表:表1)。
    (3) 指導機関が有効積算温度法で調査適期を求める場合は、11.5℃(T0)以上の積算温度 (K)
    が越冬後192日度に達した日とする。
  3. 調査水田:調査は、全水田に対してでなく、苗質や移植時期が異なる水田、小型の水
    田、屋敷や立木に囲まれた水田、飛び地の水田など、特徴的な水田を選んで行う。また、調
    査は成虫の越冬場所に近い水田から始めるのがよい。
  4. 調査箇所:調査は、対象水田の任意の場所で行えばよい。ただし、風通しやイネの生育
    の良否、山林・河畔林・幹線道路などに接しているか否か等には注意する必要がある。 ま
    た、調査は畔際から2~3m(5~10列または約20株)入ってから始めるのがよい。
  5. 調査株数:ランダムに選んだ株を対象に、専用の調査シートを使って逐次抽出調査を行
    い、1箇所につき5~10株でおおよその防除要否を判定する(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 本種の適切な防除のための簡易モニタリング法として、生産現場で活用する。
  2. 卵塊数ピーク時期の予測法は、発生予察情報の精度向上に活用する。
図表1 211901-1.gif
図表2 211901-2.gif
図表3 211901-3.gif
カテゴリ 病害虫 くり 水田 防除 モニタリング 薬剤

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