タイトル |
ほうれんそうのべと病に対する品種反応と化学的初期防除技術 |
担当機関 |
北海道立道南農業試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
故 谷井昭夫
新村昭憲
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発行年度 |
1997 |
要約 |
1997年時点での北海道におけるほうれんそうのべと病菌は殆どがレース4である。ほうれんそう84品種・系統を検定したうち22品種がレース4に対して真性抵抗性である。マンゼブまたはポリカーバメイト水和剤を子葉期および本葉2葉期に予防的に散布すると、べと病に対して極めて高い防除効果がある。
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背景・ねらい |
ほうれんそうのべと病に対する対策としては化学的防除とともに抵抗性品種が利用されて いる。しかし、近年抵抗性遺伝子M3を有する品種を侵すレース4が発生し、品種利用による 防除が不安定なものとなっている。そこで、北海道におけるべと病菌のレース、これらのレ ースに対する品種反応、新有効薬剤とその効果的使用法を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 道内のべと病菌計8菌株のうち1菌株がレース3、他の菌株はすべてレース4である。
- ほうれんそう84品種(系統を含む)の中でレース4に対して22品種が真性抵抗性(表1)、
47品種が罹病性品種であった。また、15品種は中間的な発病を示した。
- ハウス内におけるべと病の発生は接種後9日前後で認められ、初発葉に形成された分生子が
感染した株が発病するころ(接種後18日前後)から急激に広がる(図1)。
- マンゼブ水和剤、ポリカーバメイト水和剤は、既存の登録農薬に比較し防除効果が高い
(表2)。マンゼブ剤をほうれんそうの特定の葉に塗布し、その後べと病菌を全体に接種する と薬剤の付着していない葉にも防除効果が認められる。接種後に塗布しても効果はなく、マ ンゼブ剤は浸透移行性がないので、ほうれんそうに全身抵抗性を誘導している可能性が高 い。
- 子葉期、本葉2葉期の2回、マンゼブ剤あるいはポリカーバメイト剤の散布によって収穫時
まで高い防除効果がある(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- ほうれんそうのべと病の防除対策には抵抗性品種の栽培を行う。
- 罹病性品種を低温多湿下など多発条件で栽培せざるを得ない場合には化学的防除技術を利
用する。
- この化学的防除法は使用薬剤が浸透移行性の無い剤であり、収穫される葉には散布しない
ため、クリーンな防除法といえる。
- マンゼブ水和剤、ポリカーバメイト水和剤はほうれんそうに対して未登録である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
くり
抵抗性
抵抗性遺伝子
抵抗性品種
農薬
品種
防除
ほうれんそう
薬剤
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