タイトル |
れき汁排出促進型低コスト堆肥舎の構造 |
担当機関 |
北海道立根釧農業試験場 |
研究期間 |
1994~1998 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1998 |
要約 |
"O"パイプを120cm間隔で堆肥盤に敷設し、れき汁の除去を促進することで、糞尿の水分を低下させ、発酵を促進できる。さらに、"O"パイプ敷設床の上に砕石+エキスパンドメタルを重ねることで、堆肥からのれき汁排出量を増加することができる。
|
背景・ねらい |
飼養頭数の増加、敷料不足によって糞尿水分の低下が不十分で高水分のまま、糞尿が堆肥盤に排出されるようになり、牛舎周辺には非常に取り扱いにくい糞尿があふれている。そこで、れき汁の排出を促進して、糞尿の取り扱い性を改善するために、堆肥舎の床・壁構造(3種類)について検討する。
|
成果の内容・特徴 |
- 箱形発酵槽の床を「"O"パイプ(図1)+砕石(20cm厚)+エキスパンドメタル」の構造とし、高水分のわら混入堆肥を堆積して2週間毎に切返しすると、堆肥重量は約29%低下する(表1)。このとき減少重量の約30%が、れき汁として排出される。れき汁の水分は96~98%、粘度は10~39mPa・sである。
- 開発した片屋根堆肥舎の床構造(図2)は、既製のコンクリートパネル(高さ1.5m、幅1.8m)を擁壁として使用し、5m間隔に"O"パイプを敷設する。その左右1m幅、厚さ15cmの範囲に砕石(φ20)を敷き詰め、その上に枠付エキスパンドメタル(190.5cm×99.5cm)を敷いたものである。れき汁は砕石、とO"パイプを通り、擁壁の外側に埋設してあるU字溝へ流れ、貯留槽に入る。
- パイプハウス堆肥舎(図3)は、擁壁にL型コンクリートパネル(高さ1.8m、長さ2m)を使用し、パネル間の床に"O"パイプを1.2m間隔で5本敷設する。被覆資材として糸入り農ビエース0.15を使用する。"O"パイプは、片側の妻面に設置するU字溝に向かって、水勾配をとって接続する。根釧農試に建設したパイプハウス堆肥舎は、幅9m、長さ12m、有効面積93m3で建設コストは2万円/m2で、通常の床構造を持った片屋根堆肥舎の建設コスト4万円/m2に比べ、2万円/m2安い。
- 箱形発酵槽の側壁に浸出壁を用いると、水分減少量の2%を浸出壁からのれき汁として排出できる。
|
成果の活用面・留意点 |
- れき汁排出促進型堆肥舎では、堆積重量の約10%が排出されることを考慮して貯留槽を設置する。
- 片屋根堆肥舎は2棟を向かい合わせで、またパイプハウス堆肥舎は複数棟を建てることで効率的な切返し作業が可能になる。
- "O"パイプの末端は内部を掃除できるように開放しておく
- 堆肥舎の側壁に浸出壁を用いても積極的な水分低下は見込めないが、雨や雪が吹き込む構造の堆肥舎では壁側に雨水が溜るので、浸出壁を用いるとそれらを排除できる。
[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名および区分] 課題名:低コスト堆肥化施設の開発(指導参考)
|
カテゴリ |
コスト
低コスト
|