タイトル |
春まき小麦の初冬播における雪上播種の成立条件とムギキモグリバエ防除 |
担当機関 |
農業機械部 |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
春まき小麦の初冬播における雪上播種の播種適期は11月下旬~12月上旬で、この範囲内で早いほど多収である。適期播種の場合50cm程度の積雪深まで適用可能である。窒素施肥法は融雪直後に7kg/10a、出穂期に6kg/10aが適当である。ムギキモグリバエ防除は不要である。
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背景・ねらい |
実際栽培が先行している春まき小麦の初冬播栽培に対して、新たな播種法として「雪上播種」を提案し、また、ムギキモグリバエ防除に関する新知見ならびに前課題での積み残し分であった品質および品種間差に関する知見を取りまとめ、初冬播栽培の既導入者への当面の参考に供する。
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成果の内容・特徴 |
- 初冬播栽培の一形式として、ブロードキャスタ等で雪上に散播する「雪上播種」を検討した。播種適期は11月下旬~12月上旬であり、この範囲内で早いほど多収である。適期播種の場合50cm程度の積雪深まで適用可能である(図1)。
- 雪上播種での窒素施肥法は倒伏の軽減を考慮すると融雪直後にN7kg/10a、出穂期にN6kg/10aが適当である(表1)。
- 初冬播栽培(根雪前播種および雪上播種、以下同様)では、生育ステージの前進化によりムギキモグリバエによる主茎の被害が少ないため減収は認められず、ムギキモグリバエの防除は不要である(表2)。
- 初冬播栽培では、窒素の後期施肥(止葉期~出穂期)により蛋白含有量の向上とグルテンの質の強化が両立できる(図2)。
- 「春のあけぼの」の初冬播栽培は、成熟期の前進や多収の面で「ハルユタカ」と同様の効果が認められるが、春播栽培同様の品種間差が認められ、窒素施肥の蛋白向上に対する効果が鈍く、また「ハルユタカ」より収量が低い年次がある(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 当面の間、春まき小麦の初冬播栽培を何らかの方法で既に導入している者への参考とする。
- 雪上播種は主に上川農試場内(褐色低地土)での成績である。なお、保水力に乏しい土壌では融雪後の乾燥で必要な個体数を確保できないため行なわない。
- 過剰な窒素施肥は成熟期の遅延、倒伏の助長および品質低下の要因となる。
[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名および区分] 課題名:春まき小麦の初冬播栽培―雪上播種、ムギキモグリバエ防除、窒素施肥と品質、品種間差―(指導参考)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
病害虫
乾燥
小麦
施肥
播種
品種
防除
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