タイトル |
露地野菜の年間作付け数に対応した堆肥の施用限界量 |
担当機関 |
北海道立中央農業試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
牛糞麦かん堆肥の春連用時の施用限界量を、各種野菜の収量および周辺環境へ及ぼす窒素の影響を勘案し、策定した。年間作付け数に対応した施用限界量は、1.年1作:2.5、2.年2作:5.0t/10a/年である。
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背景・ねらい |
近年、畜産農家では収益性の向上を目的に多頭飼育が進行している。それに伴い家畜排泄物の量が増加し、自家内では排泄物を処理しきれない状況にある。そこで、家畜排泄物を原料とした堆肥を野菜畑に還元する際の施用限界量を、露地野菜の収量および周辺環境へ及ぼす窒素の影響を考慮しつつ策定する。このことにより、畜産における未利用資源である家畜糞尿の利用拡大に寄与する。
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成果の内容・特徴 |
- 年1作栽培における施用限界量
- 堆肥からの窒素放出量(残効含む)の減肥を前提とした連用時の施用限界量は、たまねぎの生育・収量(表1)および窒素負荷量からみて、概ね2.5t/10a/年である。また、堆肥施用に伴うタネバエによる被害を回避する上で、前年秋施用が基本的に望ましい。
- キャベツ、だいこんおよびスイートコーンの3種類の野菜における堆肥の単年施用時の施用限界量は、収量からみて、概ね2.5t/10aである。また、これらの野菜における堆肥連用時の施用限界量は、窒素吸収量等を勘案すると、たまねぎと同様に、2.5t/10a/年程度である。
- 年2作栽培時における施用限界量
- 各種野菜を組み合わせた年2作栽培における堆肥の単年施用時の、窒素減肥を前提とした施用限界量は、収量からみて、前作では5t/10a、後作では10t/10aである(表2)。しかし、10t/10a施用では土壌溶液中の硝酸態窒素濃度(NO3-N)が厚生省の基準値である10ppmを越えることもある(図1)。したがって、環境負荷を考えた場合、年2作栽培時には概ね5t/10aが施用限界量である。
- 年2作栽培時の堆肥施用は、一度に5t/10aを春施用し、前・後作に対する堆肥の寄与はそれそれ同等の2.5t/10a分と評価し、前・後作の窒素減肥量を設定する。年2作栽培において堆肥5t/10a/年を連用しても、収量の低下および窒素負荷量の増加等が認められなかったことから、連用は可能である。
- 堆肥連用時における窒素減肥対応
- 既往の成果に従い、堆肥連用時には窒素の標準施肥量から、生土培養法による地力窒素の蓄積量と当年の堆肥施用量に対応した窒素放出量の合計量を減肥する(平成7年度研究成果情報北海道農業、186-187)。
- 以上の結果および既往の知見を勘案し、露地野菜の年間作付け数に対応した堆肥連用時の当面の施用限界量および留意事項を表3に示す。
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成果の活用面・留意点 |
- 施用する堆肥は完熟の牛糞麦かん堆肥とする。
- 道内の野菜作地帯における熱抽窒素6mg/100g以下の土壌を対象とする。
- 堆肥施用量に対応した窒素と加里の減肥を行う。
[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分] 課題名:露地野菜の年間作付け数に対応した堆肥の施用限界量(指導参考)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
キャベツ
施肥
だいこん
たまねぎ
未利用資源
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