タイトル |
牛糞堆肥化過程における石灰窒素の大腸菌殺菌効果 |
担当機関 |
北海道立新得畜産試験場 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
前田 善夫
田村 忠
湊 啓子
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発行年度 |
1999 |
要約 |
牛糞尿オガクズ混合物への石灰窒素の添加は、堆肥化の際に、特に寒冷期において品温上昇の開始を遅らせ有機物の分解を抑制するものの、牛糞中大腸菌を速やかに殺菌する効果が認められた。その場合の添加量は原物比で約2%が望ましい。
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背景・ねらい |
牛糞中病原菌は堆肥化の際の発酵熱により死滅するが、十分に品温が上昇しないと残存する場合がある。そこで、石灰窒素の殺菌作用を利用し、牛糞中病原菌の殺菌を試みる。大腸菌を指標菌とし、石灰窒素の混和による牛糞中大腸菌殺菌効果、堆肥化に及ぼす影響および適切な添加量を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 牛糞中大腸菌は、牛糞および牛糞尿オガクズ混合物に対し石灰窒素を原物比で約1%添加した場合、20℃以下の培養温度域では速やかに検出限界以下となったが、30℃および37℃培養では試験期間中残存した。37℃培養では、大腸菌の死滅には約2%以上の添加が必要であった。
- 牛糞尿オガクズ混合物に石灰窒素を0~3%添加・混和し堆肥化を行った。石灰窒素の添加は、特に寒冷期において品温上昇の開始を遅らせ、その程度は添加量が増すにつれ大きかった(図1)。
- 堆肥化過程における大腸菌は、0%区では品温上昇後に検出限界以下となったが、石灰窒素1~3%添加区では、品温が全く上昇しない場合でも速やかに検出限界以下となった(表1、図1)。
- 堆肥化期間中の有機物分解率は石灰窒素添加区で抑制される傾向が見られた(表2)。
- 全窒素含量は石灰窒素1~3%の添加で約1.2~2.5倍高まったが、堆肥化期間中に減少し、終了時には対照区との差は小さかった(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 石灰窒素(粉状・防散)の添加による牛糞堆肥中大腸菌の殺菌は、速やかな殺菌を必要とし、50℃以上の発酵温度が期待出来ない場合の利用が望ましい。
- 石灰窒素の添加により全窒素含量が高まることから、堆肥の利用にあたっては成分含量を測定することが望ましい。
- 石灰窒素は「使用上の注意」を参照し、畜体に直接かかったり、飼料に混入することのないようにする。
平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分 課題名:牛糞堆肥化過程における石灰窒素の大腸菌殺菌効果(指導参考)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
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