使用済脱硫剤の土壌施用によるジャガイモ炭そ病と指斑病の軽減

タイトル 使用済脱硫剤の土壌施用によるジャガイモ炭そ病と指斑病の軽減
担当機関 種苗管理センター
研究期間 1999~1999
研究担当者 内藤繁男
大石顕一
三木信雄
上田実
福田豊(種苗管理センター)
牛木純
近藤史(東京農大)
発行年度 1999
要約 ジャガイモの植付け前に使用済脱硫剤を土壌施用することにより、炭そ病および指斑病による貯蔵中の陥没病斑の発生が軽減する。
背景・ねらい 北海道早来町内で生産されたジャガイモ塊茎において、貯蔵中の1996年春メークインに炭そ病による陥没病斑が、また1997年春サクラフブキに指斑病による陥没病斑が多発し、いずれも問題となった。同地域の土壌は粗粒砂土で塩基置換容量が低く、交換性カルシウムをはじめ塩基成分が極めて欠乏していることから、その供給源として使用済脱硫剤の施用を検討していたところ、これら病害が軽減する傾向がみられた。そこで、使用済脱硫剤を植付け前に施用し、ジャガイモの炭そ病および指斑病に対する軽減効果を調査するとともに、その要因の検討を行った。
成果の内容・特徴
  1. 北海道電力苫東厚真発電所から脱硫装置の副産物(産業廃棄物)として排出される使用済脱硫剤は、石膏と石炭灰からなり多量のカルシウムを含んでいる(表1)。
  2. 使用済脱硫剤の施用(1t/10a)により、土壌中の無機成分のうち交換性カルシウムと有効態ホウ素の濃度が増加する(図1)。
  3. 作物体の無機成分は、カルシウム濃度が葉、茎、根、塊茎の各部位で増加し(図2)ホウ素濃度が主に茎葉で増加する傾向がみられる。硫黄濃度には変化がない。
  4. 炭そ病による陥没病斑の発生が明らかに減少する(図3)。
  5. 指斑病による陥没病斑の発生も炭そ病と同様に減少する(表2)。
  6. 石膏と石炭灰をそれぞれ施用すると、石膏には使用済脱硫剤と同様の軽減効果が認められるが、ホウ素を含む石炭灰に軽減効果は認められない(表2)。したがって、使用済脱硫剤施用によるこれら病害の軽減効果は、カルシウムによると考えられる。
  7. 本試験では、使用済脱硫剤の施用による生育及び塊茎への障害、土壌pHの変化は認められないが、むしろ増収効果がみられる。
成果の活用面・留意点
  1. 塩基成分の欠乏した砂土における1t/10aの施与では、土壌pHへの影響および生育障害は認められなかったが、作物体のカルシウムとホウ素濃度が増加することから、後作物への影響を考慮し、土壌分析を行って適切な量を施用する。
  2. 使用済脱硫剤の含有成分量が安定していないことから、施用前に品質の確認を行なう。
図表1 212170-1.gif
図表2 212170-2.gif
図表3 212170-3.gif
図表4 212170-4.gif
図表5 212170-5.gif
カテゴリ ばれいしょ

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる