タイトル |
寒地の乾田播種早期湛水栽培の芽出し播種による作期の調節 |
担当機関 |
北海道農業試験場 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
粟崎弘利
安田道夫
伊藤純雄(農研センター)
君和田健二
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発行年度 |
1999 |
要約 |
播種~1葉期の有効積算温度、1葉期~幼形期の最高気温積算温度、それ以降の平均気温積算温度は水稲品種によりほぼ一定である。これにより安全出穂期間内に出穂を可能にするため出穂晩限期と、その早期化のための芽出し程度を品種ごとに算出できる。
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背景・ねらい |
寒地の水稲直播栽培は登熟不良の原因になる生育遅延を防ぐため、苗立ち数200~250本/m2を確保し、さらに早期播種、芽出し播種、側条施肥により1葉期を早めて好適な生育相(群落)を形成させる必要がある。早期播種では幼芽伸長5~10mmに必要な有効積算温度70~90℃が湛水前に得られるため、早播きほど生育は促進される。また、芽出し播種を取り入れることにより生育の斉一と、圃場での生育期間の短縮が可能である。そこで、寒地直播栽培における作期の安定化と、品種選択幅を拡大するため、稲作地域における安全出穂と作期の調節に必要な芽出し程度および播種期について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 乾田播種直播の場合、芽が伸びるのに有効な温度と実際の温度との間には、(1)幼芽伸長(mm)=0.001996X2-0.0781X(Xは有効積算温度)、(2)播種後の幼芽伸長有効温度=-8.87+0.8X(Xは日最高気温)の関係があり、播種~1葉期までに必要な有効積算温度は品種平均186℃である(表1)。
- 1葉期の調節は、播種から目標とする1葉期までの圃場の有効積算温度と、芽出し処理の有効積算温度の合計が186℃に達するように、芽出し程度および播種期を調節する(表1)。
- 直播栽培における1葉期~幼形期の最高気温積算値と、幼形期~出穂期の平均気温積算値は水稲品種によりほぼ一定である。これにより、各地域において安全期間内に出穂が可能になるように1葉期を求めることができる(表2)。
- 上川郡当麻町、雨竜郡妹背牛町、美唄市、江別市西野幌の出穂期晩限は8月4日~9日であり、晩限前10~12日間が安全出穂期間となる。偏東風地帯の西野幌は早生品種「ゆきまる」を用い0.5mm以上芽出し種子を4月30日までに播種する。その他の地域では芽出しにより湛水適期まで播種期間を延長させることができ、さらに早期播種により中生品種の直播が可能である(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 芽出し0.5~1mm(有効温度45~50℃)、10mm(有効温度93℃)種子を用いると、1葉期を吸水籾よりそれぞれ5日から10日ほど早めることができる。
- 初期生育の良い稲作安定地域では、10mm程度の芽出し種子を早期播種すると、良食味の中生品種の直播栽培が期待できる。
- 芽出し0.5mm、1mm、10mmは、吸水籾を25℃の温度でそれぞれ43時間(1.8日)、48時間(2日)、89時間(3.7日)加温する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
寒地
直播栽培
水稲
施肥
播種
品種
良食味
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