凍結初乳の連続給与と人工哺育による肉専用種子牛の下痢症対策

タイトル 凍結初乳の連続給与と人工哺育による肉専用種子牛の下痢症対策
担当機関 北海道立畜産試験場
研究期間 1995~1999
研究担当者 寒河江洋一郎
山本裕介
小原潤子
森 清一
藤川 朗
平井綱雄
発行年度 2000
要約 牛ロタウイルスの疫学調査により、子牛下痢症対策には環境整備と初乳の重要性が示された。子牛の下痢症が多発する黒毛和種牛繁殖農場では、凍結初乳の連続給与と人工哺育により、下痢症の発生率を低下することができる。
背景・ねらい 子牛の下痢症は発育不良や死亡による経済的損失が大きいため、肉牛農家にとって予防対策の確立は重要課題である。下痢症の基本的な予防対策としては、疾病に対する子牛の抵抗力の増強、飼養環境の改善によるウイルスや細菌など感染源の減少や子牛へのストレスの軽減などが挙げられる。本課題では、肉牛農場における感染性下痢の主要な原因の一つである牛ロタウイルスの動態と初乳抗体の防御効果を明らかにし、子牛の下痢発生率の高い黒毛和種繁殖農場において、凍結初乳の連続給与と人工哺育による下痢症予防効果を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 牛ロタウイルスは下痢子牛だけでなく、臨床的に正常な育成牛や成牛からも排泄され、牛舎パドック溜まり水や長靴も感染源になりうることが明らかになり(表1、2)、飼養環境の整備が重要であることが示された。
  2. ロタウイルス病子牛の血清中ウイルス中和抗体価は正常子牛と比較して低値であった(表3)。ウイルス中和抗体価と下痢発症日齢、下痢持続日数、下痢スコアおよびウイルス排泄日数に相関が認められ、初乳抗体はロタウイルス病の防御や症状の軽減に働くことが示唆された。
  3. 子牛の下痢症が多発する黒毛和種繁殖農場では、自然哺乳時の下痢症発生率が約50%であったが(図1)、人工哺育開始後は下痢発生率が約4%となり(図2)、凍結初乳の連続給与と親牛からの隔離・人工哺育により、下痢症の発生率を低下することができる。
成果の活用面・留意点
  1. 子牛の下痢症が多発する農場では、凍結初乳の連続給与や親牛からの隔離・人工哺育は子牛の損耗率低下に有効な対策となる。
  2. 凍結初乳の利用にあたっては、ヨーネ病および牛白血病に罹患していない牛の初乳であること、初産牛や低比重の初乳は避けるよう注意する。

平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:凍結初乳の連続給与と人工哺育による肉専用種子牛の下痢症対策(指導参考)
図表1 212270-1.jpg
図表2 212270-2.jpg
図表3 212270-3.jpg
図表4 212270-4.jpg
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カテゴリ 肉牛 繁殖性改善

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