タイトル |
チモシー放牧地における馬の栄養摂取量 |
担当機関 |
北海道立畜産試験場 |
研究期間 |
1997~1999 |
研究担当者 |
出口健三郎
前田善夫
田村 忠
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発行年度 |
2000 |
要約 |
サラブレッド種 (せん馬)をチモシー単播草地へ連続放牧で、かつ全日放牧した場合の可消化エネルギー摂取量は繁殖雌馬の妊娠期の要求量を満たすが、繁殖雌馬の泌乳期および育成馬の要求量にはやや不足する。粗タンパク質摂取量は要求量を上回る。
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背景・ねらい |
軽種馬飼養標準(JRA競走馬総合研究所、1998)が刊行され、養要求量に基づく飼養管理が進められつつある。軽種馬は多くの時間を放牧地で管理されるため、養分要求量に基づいて飼養するためには、放牧地での栄養摂取量を把握する必要がある。そこで、全日放牧した場合の乾物、可消化エネルギー、粗タンパク質摂取量とその充足率を調べた。
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成果の内容・特徴 |
- ダブルインディケーター法により放牧地での栄養摂取量を推定することが可能である。外部指示物質としてクロムを用い、ふん中のクロム含量から排ふん量を推定し、牧草中の難消化性繊維(Ob)含量から乾物消化率を推定する。これにより乾物摂取量を推定することが可能である。
- 乾草・サイレージ給与時に投与した酸化クロムの平均回収率は100%であった。放牧時のふん塊ごとのクロム含有率には日内変動・日間変動がみられるため(図1)、排ふん量推定には、排ふんごとに試料を採取し、ふん塊ごとのクロム含有率の平均値を用いることが望ましい。
- Ob含有率から推定した採食部位の乾物消化率は61~77%、可消化エネルギー(DE)含量は2.69~3.39Mcal/kgの範囲にあった(表1・2)。
- 乾物摂取量は1.33~1.82kg/体重100kg・日であり、乾草・サイレージ給与時(2.00~2.70kg/体重100kg・日)に比較して低かった。DE摂取量は17.1~26.8Mcal/頭・日、3.84~5.71Mcal/体重100kg・日、粗タンパク質(CP)摂取量は997~2213g/頭・日、235~472g/体重100kg・日であった(表2)。
- 放牧時のDE摂取量は繁殖馬の妊娠後期の要求量(3.98Mcal/100kgBW)を満たすが、泌乳期(5.4~4.9 Mcal/100kgBW)および育成馬(22か月齢:5.9 Mcal/100kgBW)の要求量にはやや不足する。CPは要求量(繁殖期:280~172g/100kgBW、育成:249~227 g/100kgBW)を上回る摂取量となった。
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成果の活用面・留意点 |
- 放牧時の飼料給与設計に活用できる。飼料設計にあたっては併給飼料、放牧時間を考慮する。
- チモシー単播草地で、準備草量が十分な場合に適用する。
- 乾物消化率・DE含量は採食部位(葉身先端から10cm程度)の値である。
平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分 課題名:チモシー放牧地における馬の栄養摂取量(指導参考)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
馬
飼育技術
飼料設計
繁殖性改善
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