ばれいしょ品種「スタークイーン」のジャガイモYモザイクウイルスえそ系統(PVY-T)感染株の病徴

タイトル ばれいしょ品種「スタークイーン」のジャガイモYモザイクウイルスえそ系統(PVY-T)感染株の病徴
担当機関 北海道立北見農業試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者 向原元美
萩田孝志
発行年度 2000
要約 ばれいしょ品種「スタークイーン」のPVY(T,O)感染株の当代病徴は、接種葉にえそ斑点を生じるが、上葉の病徴は不明瞭である。次代病徴のうち、開花期以前に現れる単独のれん葉症状はPVY-Tの感染とは無関係であり、PVY-T感染株の主要な病徴は黄色斑紋とモザイク症状である。
背景・ねらい ばれいしょ品種「スタークイーン」(根育31号)は、生育期間中れん葉症状を現すため、PVY感染によるか否かが問題とされている。本研究では、れん葉症状とPVY感染の関係を検討するとともに、PVY-T感染の有無を識別するための指標となる病徴を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 「スタークイーン」のPVY(T,O)当代感染株は接種葉にえそ斑点を生じるが、上葉の病徴は不明瞭であり、当代感染株の判別は「男爵薯」同様に容易ではない。
  2. 「男爵薯」のPVY(T,O)感染株も接種葉にえそ斑点を生じ、上葉の病徴の多くが不明瞭であるが、稀にえそを生じる株が見られる。
  3. 開花期以前の「スタークイーン」の健全株によく出現する単独のれん葉症状(PVY感染疑似症状)は、開花期以降目立たなくなることから、ウイルスの感染と無関係である。PVY-T感染株判別の指標とはならない(表1)。
  4. PVY-T保毒いも由来の「スタークイーン」の次代の主な病徴は、れん葉に黄色斑紋とモザイク症状であり、着蕾期頃から出現し、開花3週間頃まで明瞭で,その後軽微になる。病徴が不明瞭な株は「男爵薯」より少ない(表1)。
  5. PVY(T,O)保毒いも由来の「男爵薯」の次代病徴は黄色斑紋、モザイク、れん葉、えそ症状の単独または混合したもので、いずれも「スタークイーン」より軽微であり、病徴が不明瞭な株も多く見られる(表2)。
  6. PVY-T感染株から収穫した保毒いもをほ場に植え、病徴(黄色斑紋とモザイク症状)による肉眼判定とエライザ検定の比較を行った結果、供試125株中123株(98.4%)で両者の判定が一致したことから、本病徴により高い精度で「スタークイーン」のPVY-T感染の有無を識別できる(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. 本成績は「スタークイーン」の原採種ほ場におけるジャガイモYモザイク病の防除対策に活用できる。
  2. 病徴観察は日照の強い晴天時を避け、曇天時に行うとより見やすくなる。その場合、エライザ(ELISA)法又はRIPA法(平成10年度北海道農業試験会議普及奨励)を補助的に用いることにより、一層肉眼判定の精度が向上する。

平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:ばれいしょ品種「スタークイーン」のジャガイモYモザイクウイルス(PVY-T)感染の指標となる病徴(指導参考)
図表1 212285-1.jpg
図表2 212285-2.jpg
図表3 212285-3.jpg
カテゴリ 病害虫 ばれいしょ 品種 防除 モザイク症

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる