水田に施用された農薬の流出実態と流出軽減対策

タイトル 水田に施用された農薬の流出実態と流出軽減対策
担当機関 北海道環境科学研究センター
研究期間 1999~2000
研究担当者 沼辺明博
村田清康
永洞真一郎
佐藤龍夫
乙部裕一
上野 達
発行年度 2000
要約 農薬は施用直後から河川水中で検出されるが、流出ピークは気象状況等で使用基準の時期より遅れたり、一時的に水質評価指針値を超える場合がある。水田田面水中の除草剤の半減期は2~5日で、水口近傍排水口による水位管理や簡易吸着装置は農薬流出軽減効果がある。
背景・ねらい 1990年以降、農薬の環境基準・水質評価指針等が定められ、モニタリングも行われているが、対象農薬は今日用いられている約500農薬のうちの58農薬にすぎない。また、農薬の環境影響については未知な点も多く、河川等への農薬の流出を極力抑えることが求められる。
本試験は、水田に施用される農薬の量と環境動態、特に河川等への流出実態を把握し、適切なモニタリングのあり方、農薬流出の軽減策について検討する。
成果の内容・特徴
  1. 本調査地域(千歳川流域)の全農薬成分販売量(4kg/ha)は全国平均(17kg/ha)と比較し少ない。
  2. 水面に施用された農薬は施用直後から河川水中に検出され、農薬の流出ピークは移植後の低温や日照不足による生育不良の場合、使用基準に示された時期より遅れて検出される(図1)。
  3. 農薬の流出率は0.2%からの44%の範囲で、水溶解度の高い農薬や殺虫・殺菌剤に比べ除草剤の流出率が大きい傾向が認められる(図2)。
  4. 河川の農薬濃度が一時的に水質評価指針値を超え検出される地点がみられる。
  5. 水田田面水中の除草剤の半減期は2~5日で、約1週間後に初期濃度の約1/10となる(表1)。
  6. 給水時のオーバーフロー排水を水口近傍の排水口で行う水位管理は水田からの農薬流出量の大幅削減、施用効果の持続からも有効である(表2)。粒状木炭等を利用した簡易吸着装置の設置は、小規模な排水路における農薬流出の軽減効果がある。
成果の活用面・留意点
  1. 水田に施用される農薬の環境モニタリングにあたっては、使用実態と気象等による生育状況に対応して行う必要がある。
  2. 水田に施用された除草剤の流出軽減のためには、移植前の使用禁止の徹底や、施用後1週~10日間はオーバーフロー、かけ流し、落水をしないことが必要である。
  3. 水口近傍排水は、オーバーフローやかけ流しの際の流出軽減に有効であるので、対応可能な水田については水尻口を移動する。休耕田利用や木炭吸着装置は一時的な流出軽減策である。

平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:水田に施用された農薬の環境動態と流出軽減対策(指導参考)
図表1 212303-1.jpg
図表2 212303-2.jpg
図表3 212303-3.jpg
図表4 212303-4.jpg
カテゴリ 病害虫 除草剤 水田 農薬 モニタリング

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