地形・地質・土壌が水源かん養機能に及ぼす影響の解明

タイトル 地形・地質・土壌が水源かん養機能に及ぼす影響の解明
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 小林政広
森林環境部土壌物理研究室 加藤正樹
発行年度 1992
背景・ねらい 森林土壌は,人為的なインパクトを受けることが少ないため,立地環境を強く反映した特性を保っている。特に,土壌下層部や風化岩層の孔隙特性は地質条件に左右される面が強い。そのため,保水,流出特性も地質条件に強い影響を受けていることが考えられる。一方,山地流域からの水流出は,山体からの脱水過程と捉えることができる。従って,ある流域の流出特性を解析することによって,流域としての保水特性を推定することが可能と考えられる。
成果の内容・特徴 関東以西の地域について,「多目的ダム管理年報」から集水域全体がほぼ同一の地質条件にあるダムを選定し,堀田(1985)の方法を用いてダムへの日流入量(流域からの流出量)から基準減水曲線を作成し,これに基づいて各流域の保水容量を推定した。基準減水曲線は1985~1987年の8~12月について,無降雨日の日流入量(V(n))と翌日(無降雨日)の日流入量(V(n+1))を両対数グラフにプロットし,V(n+1)=fV(n)の関係を求めた。保水容量は初期流量を102.4mmと仮定し,30日間の流出総量として算出した。なお,選定した地質やダム数などは表1に示した。図1に中古生層流域の流出特性の例を示した。この例のように,同じグループに分類される地質でも,流域によって流出特性は異なる傾向がみられる。
表1に地質別の流域保水容量を示した。平均流域保水容量は変成岩流域が256mmで最も大きく,以下,花崗岩流域221mm,火山岩流域198mm,中古生層流域150mmで,第三紀層流域が147mmと最も小さい。また,流域面積と保水容量との間には明瞭な関係は認められない。
次に,表2に土壌の孔隙解析から降雨貯留量を計量・評価した既存の資料を示した。変成岩で今回得られた値がやや高い他は非常に近い値が得られ,全く異なる方法で保水特性を評価した結果がほぼ同じ値を示した。このことから,正確な日流出データの得られる流域については,今回用いた推定手法が流域の保水特性を評価するための簡易で有効なものと考えられ
る。今後,山地流域の保水特性について,広域的な類型化を行う必要がある。
図表1 212317-1.gif
図表2 212317-2.gif
図表3 212317-3.gif
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