| タイトル | 高層湿原の植生及び陸化過程に及ぼす環境変動の影響予測 |
|---|---|
| 担当機関 | 森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
九島宏道森林環境部治山研究室 北原 曜 北海道支所造林研究室 金澤洋一 |
| 発行年度 | 1992 |
| 背景・ねらい | 地球の温暖化が各種生態系に及ぼす影響が懸念されている。この研究では倶知安営林署管内の中山峠に近い高層湿原を対象に,一つの湿原で植生タイプが異なる3箇所,湿原中央のワタスゲ群落,その周囲のエゾカンゾウ群落,湿原周縁のチシマザサ群落に井戸を掘り,地下水位の変動・泥炭の蓄積状態を調ベ,また同時に湿性タイプの樹木の成長を調べた。その結果をもとに温暖化による地下水位の変化が高層湿原に与える影響の解明を試みた。 |
| 成果の内容・特徴 | 調査した湿原は長径約100m・短径約80mで,周囲をアカエゾマツ・トドマツ・ダケカンバで囲まれている。アカエゾマツは湿原内にも侵入していた。アカエゾマツの肥大成長は湿原中央部の個体で最も小さく,次に湿原周縁,肥大成長が最も大きい個体は湿原外側の個体であった。 水位計によれば,降雨直後の水位の減少は,チシマザサ>エゾカンゾウ>ワタスゲ群落の順で大きかった(図1)。これはチシマザサ群落の蒸発散量が大きいことを示唆している。 泥炭の分析結果から(表1),表層部の泥炭の分解程度は,チシマザサ>エゾカンゾウ>ワタスゲ群落の順に高く,地下水位の低下に伴う有機物分解の促進が認められた。有機物の分解程度の指標であるC/N比もワタスゲ群落の表層部でやや高い傾向が認められた。 気象記録をもとに,ペンマンの式を用いて気温が3℃上昇した場合の蒸発散量を計算したところ(図2),6~10月の無雪期で合計すると37.3mmの増加となった。これはほぼ1割の蒸発散量の増加である。この結果を湿原にあてはめると,ワタスゲ群落で1.0cm,エゾカンゾウ群落で1.2cm,チシマザサ群落で1.6cmほど水位が低下することになる。その結果,ワタスゲ群落は縮小し,エゾカンゾウ群落も湿原中央に移動縮小する。チシマザサ群落は周縁より進出して湿原は縮小し,泥炭の分解も促進される。チシマザサの湿原内の侵入は蒸発散を促進して,ますます湿原の乾燥化・泥炭の分解も進む。湿原外側のアカエゾマツの肥大成長にみるように,周辺の樹木の成長が促進されることも考えられる。温暖化が湿原に及ぼす影響は想像以上になる可能性がある。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| カテゴリ | 乾燥 |
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