ウダイカンバ林分の樹高成長と本数管理の指針

タイトル ウダイカンバ林分の樹高成長と本数管理の指針
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 佐野 真
石橋 聡
北海道支所天然林管理研究室  猪瀬光雄
発行年度 1992
背景・ねらい 近年,広葉樹は天然林の構成樹種及び木材利用の点からも,その価値が見直されてきている。北海道では,広葉樹の中ではカンバ類の占める面積割合が高く重要な位置を占めている。カンバ類の内ではウグイカンバが材質も良く価値の高い樹種である。ウグイカンバは山火事跡の再生林等に良く一斉林を形成し,初期成長が旺盛である。このため,若い時代の本数密度のコントロールが重要なポイントになる。この関係を求めるため,ウグイカンバの樹高成長及び林分の本数と材積について分析し,目的とする太さの木を育成するための本数管理指針を作成した。
成果の内容・特徴 ウグイカンバの樹高成長は若齢期に旺盛で,これに伴って樹冠を大きく拡張させていく。隣接する木に被圧されない上層を占める木(上層木)の樹高成長は,一般にその土地の肥沃度によって決まるとされる。いろいろな生育段階の異なったウグイカンバの上層木の平均樹高を林の年齢に応じて区分し,林齢50年の上層木の平均樹高をその地位を表わす指数とすると図1のように表現できる。例えば,林齢50年の時には樹高は普通20~22mの高さになる。
ウグイカンバ林のいろいろな林の1ヘクタール当りの本数と材積の関係を対数値で示すと図2の通りである。林の混み具合や成育段階の違いによって林分材積が大きく変動することが分かる。これらの林分から得られた樹高,本数,材積,平均直径などの測定値をもとに,図3のような,本数,材積,平均直径,上層樹高及び林の管理基準を示す収量比数(Ry)を一枚の図面上に表示したウグイカンバの林分密度管理図を作成した(横軸,縦軸ともに対数値で示してある)。この図面からいろいろな事が分かる。例えば,1ヘクタール当りの本数が1000本で材積が100m3の林があったとき,平均直径が14cm,上層樹高が約14.4mであり林の管理基準Ryは約0.78となり,やや混み合った林の状態にあることが推定できる。
この林分密度管理図を利用して,地位(SI)に応じて収量比数(Ry)をコントロールすることによって,ウグイカンバ林の平均直径を予測できる(図4)。図から地位の良い林地で,密度を低めに管理すると早く太い木が育成できることが分かる。このように,林の本数をコントロールすることによって目的に合致したウグイカンバ林に誘導する指針が得られた。

図表1 212326-1.gif
図表2 212326-2.gif
図表3 212326-3.gif
図表4 212326-4.gif
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